ギャンブル依存症は本人だけでなく、その家族にも深刻な影響を及ぼします。家族は借金問題や精神的な苦しみに直面し、どう対処すれば良いのか分からず孤立してしまうことも少なくありません。しかし、同じ悩みを抱える人同士が支え合う「自助グループ」や、専門的な知識を持つ支援団体の存在は、そうした家族にとって大きな助けとなります。本記事では、ギャンブル依存症の家族向けに日本で利用できる主な自助グループ・支援団体をまとめてご紹介します。伝統的な家族の自助グループであるギャマノン(Gam-Anon)、全国規模で活動するNPO法人全国ギャンブル依存症家族の会、そして2025年に誕生した新しいグループGAFA(ガーファ)など、それぞれの特徴や活動内容を分かりやすく解説します。ご家族がギャンブル問題でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. ギャマノン(Gam-Anon) – 家族と友人のための伝統的な自助グループ
ギャマノンは、ギャンブル問題の影響を受けた家族や友人が集うための伝統的な自助グループです。もともと米国で生まれ、アルコール依存症者の家族向け自助グループ「アラノン」のギャンブル版として発足しました。ギャマノンでは同じ立場の仲間同士が定期的にミーティングを開き、悩みや経験を分かち合いながら問題に対処する力を養っていきます。医師やカウンセラーなどの専門職は同席せず、あくまで当事者の家族同士で支え合うのが特徴です。
このグループは完全匿名で運営されており、本名や身分を明かす必要はありません。また特定の宗教・政治団体などいかなる組織にも属さない中立の立場で活動しています。参加にあたって費用や会費は一切かからず、資格や条件もありません。ギャマノンのミーティングは全国各地で開催されており、悩みや苦しみを共有して勇気と元気をもらう場となっています。公式の日本サービスオフィス(JSO)のサイトでは、お住まいの地域で開かれているグループ一覧やスケジュールを確認することができます。予約不要で誰でも参加できますので、「自分だけではない」と感じられる安心感を得るためにも、まずは最寄りのミーティングに足を運んでみると良いでしょう。
2. 全国ギャンブル依存症家族の会 – 家族で学び支え合う全国組織
全国ギャンブル依存症家族の会(全家協とも呼ばれます)は、ギャンブル依存症に苦しむ当事者の家族同士が連帯し、問題解決を図ることを目的に活動を続けているNPO法人です。その名の通り、ギャンブル依存症者の家族の集まりであり、「一人で悩まず、一緒に対応の仕方を学びませんか」という呼びかけのもとで家族同士の支え合いを推進しています。家族だけでは抱え込みがちな問題も、同じ境遇の仲間と正しい知識や対処法を学ぶことで解決への道筋が見えてくることがあります。実際、「同じ問題を解決した家族会」と出会い、ギャンブル依存症に関する正しい知識と適切な行動を学んだことで問題を乗り越えられたケースも報告されています。
この家族の会は全国規模で組織化されており、現在北海道から九州まで各地に「家族会」(地域グループ)が存在します。各地域の家族会ごとに定期的なミーティングや学習会を開催しており、家族同士で情報交換や悩みの共有を行っています。ギャマノンやGAFAのような12ステップに基づく自助グループとは異なり、NPO法人ならではの組織力を生かして幅広い活動を展開している点が特徴です。例えば、専門医や支援団体の代表を招いた講演会、当事者や家族の体験談発表、個別相談会などのセミナーやイベントも積極的に開催されています。こうした場では、ギャンブル依存症に関する最新の知見を学んだり、専門家から直接アドバイスを受けたりすることができ、家族にとって貴重な学びと安心につながります。
各地域の家族会への参加方法も比較的気軽で、基本的にどなたでも参加可能です(参加に際して事前連絡や紹介は不要です)。会によっては会場費等の実費として参加費(例:1回あたり数百~千円程度)をお願いする場合がありますが、負担の少ない範囲で運営されています。公式サイト上で各地域の家族会の開催日程や場所が公開されていますので、興味のある方はまずウェブサイトを確認してみてください。身近に同じ悩みを語り合える場が見つかれば、「ひとりで抱えなくてもいいんだ」という安心感が得られるはずです。
3. GAFA(ガーファ) – 新しいギャンブル依存症家族向け12ステップ自助グループ
GAFA(ガーファ)は、「Gambling Families Anonymous」の頭文字を取った名称で、ギャンブル問題を抱える人の家族・友人のための新しい自助グループです。2025年4月に誕生したばかりの団体で、日本語では「ギャンブリング・ファミリーズ・アノニマス」と表記されることもあります。名称が示す通り匿名の自助グループであり、基本的なスタイルはギャマノンと同様に12ステッププログラムに基づいています。ギャンブル依存症からの回復を目指す世界的な自助グループの一つであり、2025年に日本で立ち上げが発表されました。まだ発足間もない団体ですが、「家族の努力や愛情だけでは解決できない問題だからこそ、仲間と共に取り組もう」という理念のもと、少しずつ活動の輪を広げています。実際、GAFAと12ステッププログラムを通じて希望を取り戻した家族もおり、その経験が設立の背景となりました。
GAFAの日本におけるグループ構成は、現時点(2025年)で全国を10の地域に分けて組織されています。北海道から沖縄まで主要ブロックごとにグループがあり、それぞれが定期的にミーティングを開催中です。ミーティングの頻度は地域やメンバー数によって異なりますが、週1回程度開催しているグループもあれば月に1~2回ペースのグループもあります。参加方法はギャマノン同様にオープンで、基本的に事前の申し込みや費用は不要です(初めて参加する際も飛び込みで大丈夫です)。GAFA公式サイトでは地域ごとのミーティング開催情報や連絡先が案内されています。新しい団体とはいえ、既に日本各地に仲間がいるので、近くにギャマノンが無い地域の方でもGAFAのグループが見つかる可能性があります。またGAFAでは、家族同士が希望を取り戻すことを重視しており、「ギャンブル依存症は家族の努力だけでは解決できない」という認識のもとでお互いを支え合っています。同じ悩みを持つ者同士が集まり、12ステップに取り組みながら回復と前向きな変化を目指している点で、ギャマノンと志を同じくする新たな選択肢と言えるでしょう。
団体名
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活動地域
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開催頻度
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会場名(例)
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公式サイト
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電話番号(連絡先)
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ギャマノン(Gam-Anon)
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全国(北海道~九州・沖縄まで各地にグループ)
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グループにより異なるが概ね週1回ペース(例:奈良わかくさGは毎週月曜開催)
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各グループごとに会場を公表(公民館、教会などを利用。例:大阪市立啓発センター)
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https://www.gam-anon.jp
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03-6659-4879(※月・木10~12時)
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全国ギャンブル依存症家族の会 (NPO法人)
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全国(北海道から九州まで多数の地域で家族会を開催)
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概ね月1回(地域ごとに定期開催。例:佐賀は毎月第1土曜13:30~開催)
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主に各地の公民館や公共施設(例:佐賀市立春日北公民館で開催)
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https://gdfam.org
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090-6737-8665
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GAFA(Gambling Families Anonymous)
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全国(複数地域に展開。例:福島・岩手・奈良などでグループ活動)
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多くのグループが週1回定例ミーティング(例:奈良王寺Gは毎週日曜開催)
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各グループが借用する会場(公民館等。例:郡山市中央公民館で開催)
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https://gafa-official.org
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(公式電話窓口なし)
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※ギャマノン事務局電話は毎週月曜・木曜10~12時のみ受付。
おわりに
ギャンブル依存症に向き合う家族にとって、同じ悩みを分かち合える仲間の存在は何よりの支えとなります。ここでご紹介したギャマノン、全国ギャンブル依存症家族の会、そしてGAFAはいずれも、孤立しがちな家族が一人で抱え込まなくて済むよう手を差し伸べてくれる心強い存在です。それぞれ歴史やアプローチ(12ステップかどうか、活動内容など)に違いはありますが、目的は共通しています。どの団体でも「家族だけで解決しようとせず、周囲の力を借りましょう」というメッセージが強調されています。一人では出口が見えなかった状況でも、同じ経験を持つ仲間の話を聞いたり専門的な知識を学んだりする中で、新たな気づきや希望が生まれることは少なくありません。お住まいの地域やご自身のニーズに合ったグループを見つけて、ぜひ一度参加してみてください。つらい状況を抱え込まず、周囲の支援を上手に活用することで、きっと未来への一歩が踏み出せるはずです。あなたとご家族が再び笑顔を取り戻すためのヒントが、これらの仲間との出会いの中にきっと見つかることでしょう。