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ギャンブル依存症を自力で克服するためのステップガイド

 
Miku
今回の記事はセルフチェック祭りだよ😁

ギャンブル依存症は「病気」です。「自分の意思が弱いだけ」と自分を責める必要はありません。実際、世界保健機関(WHO)や米国精神医学会も公式にギャンブル依存症(ギャンブル障害)を精神疾患として認定しています。単なる悪習慣や性格の問題ではなく、脳内の生理学的な変化に基づく明確な疾患なのです¹。また2013年の米国診断基準DSM-5では、アルコールや薬物の依存症と同じカテゴリーの疾患に位置付けられました²。これはギャンブルによる脳の変化が他の依存症と共通するためで、意思の力だけで克服するのが極めて難しい理由でもあります。

しかし回復への道は確かに存在します。日本では成人の約1.6~2.2%、つまり数百万人規模の人がギャンブル依存症に苦しんでいると推計されており³、決してあなただけの問題ではありません。同じ悩みを抱えながら克服に向かった人たちも大勢います。本記事では、自分でギャンブルをやめる方法を具体的なステップに沿って解説します。「ギャンブル依存症は自力で治せる?」という疑問に答えつつ、依存症を病気と認める第一歩から、トリガー(きっかけ)の特定、生活習慣の見直し、金銭管理の工夫、相談先の活用まで段階的に紹介します。

 
Nana
決して一人じゃないからね 正しい環境と計画があれば、必ず回復できますよ

ギャンブル依存症は自力で治せる?

結論から言えば、「軽度なら自力で回復できる場合もあるが、重度の場合は専門的な助けが必要」というのが専門家の見解です。ギャンブル依存症も他の病気と同様、症状の程度は人それぞれです。例えば「ストレス解消のためについパチンコに通いすぎている」という比較的初期の段階であれば、専門治療を受けずとも自分の工夫と努力でギャンブルをやめられる可能性はあります。実際、専門家によれば簡易な介入で症状が改善することもあるそうです⁴。具体的には、後述するような環境調整や習慣の見直しなどで「ギャンブルから距離を置く」ことに成功し、そのまま断ギャンブルを継続できる人もいます。

一方で、問題が深刻な場合(重度の依存症)には自己対処だけでは難しいのも事実です。長年ギャンブル漬けの生活を続け借金や人間関係の破綻に至っているようなケースでは、専門医療による治療やリハビリ、周囲の強力なサポートが欠かせません。専門家は「自力での対策には限界がある。病気は専門家と協力して治すのが最も確実な道」とも述べています⁴。自力で克服しようとする姿勢自体は素晴らしいことですが、決して専門家の助けを拒むべきではありません。「自分ひとりの力で治さなければ」というこだわりが、かえって回復を遠ざけてしまう場合もあります。困ったときは恥ずかしがらずに医療機関や相談窓口を頼ってよいのです(具体的な相談先は後述)。要は、できる限りのセルフヘルプに取り組みつつ、必要に応じて専門家の助力も得ることが、最も現実的で成功率の高い「ギャンブルをやめる方法」だと言えるでしょう。

 
Miku
それではここから、ギャンブル依存症を自力で克服するための具体的ステップを順に見ていきましょう!
 

ステップ1:依存症であることを認める(第一歩)

まず最初に取り組むべきは、自分がギャンブル依存症という「病気」にかかっていることを認めることです。すべての回復はここから始まります。ギャンブル依存症の当事者にはしばしば「否認」の心理が働きます。「自分はいつでもやめられる」「ただの娯楽だ」「今回は運が悪かっただけ」と問題を過小評価し、現実から目を背けてしまう傾向です。しかし、この「自分は大丈夫」という否認を打ち破り、助けが必要だと認めることこそが回復への扉を開く第一歩です。

勇気のいることですが、まずは「ギャンブル依存症は意思の弱さではなく脳の病である」と理解してください¹。つまりあなたの人格が弱いのではなく、病気のせいで「やめたいのにやめられない」状態に陥っているのです。この事実を受け入れることで、適切な対策に目を向けられるようになります。「自分はギャンブル依存症かもしれない」と認めるのは辛いかもしれませんが、ここを出発点にしなければ何も始まりません。プライドや恥ずかしさで助けを求めるのをためらう必要はありません。病気なのですから、治療やサポートを受けるのは当然の権利です。

周囲に依存症であることを打ち明けるのは後述しますが、まずは自分自身が現状を正しく認識することが重要です。「今の自分はギャンブルを自分の力だけではコントロールできない状態にある」ことをはっきり自覚しましょう。その上で、「これから回復に向けて行動を起こすんだ」という決意を固めてください。この第一歩を踏み出すことで、回復への道筋が見えてきます。

 
Nana
まずは自分の状態をチェックしてみましょう!

ギャンブル依存セルフチェック
(当てはまる項目に✔︎してください)

ステップ2:ギャンブルの誘惑源から距離を置く(環境の整理)

次に行うべきは、ギャンブルに手を出せない環境を意図的に作ることです。意思の力だけで誘惑に打ち勝つのは非常に困難なので、物理的・環境的にギャンブルから距離を置きましょう。

 
Miku
具体的には次のような対策が効果的だよ
  • ギャンブル施設に近づかない: パチンコ店、競馬場、競艇場、カジノバーなど、ギャンブルを行う場所には極力行かないようにします。通勤通学や買い物の経路にそうした施設がある場合は、遠回りになってもルートを変える工夫をしましょう。休日も暇つぶしにパチンコ店街へ行くようなことは避けてください。最初のうちは強い誘惑を感じるかもしれませんが、「近寄らない」と決めて徹底することが大切です。
  • 関連グッズや情報を断つ: 家にある競馬新聞やパチンコ雑誌、過去の馬券や換金レシートなどギャンブルを連想させるものは処分します。テレビやネットで競馬・競輪の中継を見ない、ギャンブル関連のニュースやサイトをブックマークから削除する、といった情報遮断も有効です。スマホの競馬・オンラインカジノアプリはアンインストールし、関連サイトにはアクセスしないようフィルタリングやブロック設定をしておきましょう。
  • ギャンブル仲間との付き合いを控える: 一緒にパチンコに行っていた友人や賭け事好きの知人とは、しばらく距離を置くことを考えてください。誘いを受けると再燃してしまう恐れがあるためです。勇気を出して「今はギャンブルをやめようとしている」と伝え、理解してもらいましょう。本当の友人であれば、きっと協力してくれるはずです。どうしても理解が得られない相手とは残念ですが交際を断つことも検討すべきです。
  • お金の流れを遮断する: ギャンブルを実行に移せてしまう大きな要因は「手元にお金があること」です。そこで、自分一人で自由に使えるお金を極力持たない環境を作りましょう。(詳細は「ステップ5:金銭管理術」で後述しますが、この段階でもATMカードやクレジットカードを預けるなどできることはしておきます。)

これらの環境調整によって、衝動的にギャンブルへ走ってしまうハードルを上げることができます。重要なのは「自分の意思に頼らなくても済む仕組み」を作ることです。たとえば「財布に5千円以上は入れない」「給料日はパチンコ店の近くに行かない」「夜ひとりで暇になる時間帯は予定を入れる」などルールを決め、それを破らずに済む環境を整えます。こうした工夫により、仮に強い誘惑に駆られても実際にギャンブルをやるまでのクッション(時間稼ぎ)ができます。「やりたいけどできない」という状況を自ら作り出すことで、衝動は次第に鎮まっていきます。

 
Nana
どれくらい環境の整備ができているかも確認してみましょうね

環境整備セルフチェック
(当てはまる項目に✔︎してください)

ステップ3:生活習慣を見直し代替行動を見つける

ギャンブルに費やしていた時間・エネルギー・お金を別の健全な活動に振り向けることも、回復には重要です。長年ギャンブルが生活の中心だった人にとって、急にそれを失うと「暇」「退屈」「刺激が足りない」と感じてしまい、結局またギャンブルに戻りやすくなります。そこで、ギャンブル以外に夢中になれることを探しましょう。最初は何をしても物足りなく感じるかもしれません。ギャンブルの強烈な興奮に比べれば他のことが色褪せて見えるのは自然です。しかし焦らず、少しずつでいいので続けてみてください。次第に脳がギャンブル以外の行動からも快感や充足感を得られるようになっていきます。

 
Miku
おすすめの代替行動を紹介するよ
  • 体を動かす: ウォーキング、ジョギング、筋トレ、ヨガ、スポーツなど運動習慣を取り入れてみましょう。体を動かすことはストレス発散に効果的で、幸福感や安定した気分をもたらす脳内物質(セロトニン等)の分泌を促します。運動後の爽快感は意外と侮れません。朝夕の散歩からでも構いませんので習慣化してみましょう。
  • 趣味に没頭する: 読書、映画・音楽鑑賞、料理、ガーデニング、釣り、ドライブ、プラモデル作り、ゲーム、ブログ執筆…何でも構いませんので興味を持てる新しい趣味にトライしてみましょう。過去に好きだったけど最近やっていないことがあれば再開するのも良いです。ギャンブルと無関係の対象に意識を向ける時間を増やすことで、賭け事への渇望を薄めていく狙いです。
  • 人との交流: 長らくギャンブル中心で希薄になっていた人間関係を取り戻しましょう。旧友に連絡を取って会ってみる、家族との時間を増やす、地元のサークルやボランティアに参加するなど、ギャンブル抜きで付き合える仲間を増やすと孤独感が和らぎます。他人と過ごす予定があれば、その時間はギャンブルから遠ざかれます。誰かと言葉を交わすだけでも気が紛れるものです。
  • 新しい目標にチャレンジ: 資格取得の勉強を始める、習い事を始める、キャリアアップや転職の準備をするなど、自己投資や成長につながる目標を設定するのも良い方法です。未来に向けた建設的な活動は生きがいを生み、ギャンブルに費やしていた労力を有意義な方向へ転換できます。「ギャンブルをやめて節約できたお金で◯◯を買おう」「旅行に行こう」といった前向きな目標を立てるのもモチベーション維持に役立ちます。

ポイントは、「すぐに飽きてしまっても色々試してみる」ことです。最初から「これだ!」と思える趣味が見つからなくても落胆しないでください。小さな楽しみをコツコツ積み重ねていくうちに、人生にはギャンブル以外にも楽しいことがたくさんあると実感できるようになります。ギャンブルで荒んでいた心と体を癒し、健全な快感を取り戻すリハビリだと思って、ぜひ様々な活動に挑戦してみましょう。

 
Nana
どんな代替行動ができているかな??

代替行動セルフチェック
(当てはまる項目に✔︎してください)

ステップ4:自分の「トリガー」を把握し対処法を準備する

トリガー(誘因)とは、ギャンブル欲求を引き起こすきっかけとなる状況や感情のことです。人によってトリガーは異なりますが、代表的な例として以下のようなものがあります。

 
Miku
どんなことがトリガーになっているか思い返してみましょう
  • 感情面のトリガー: イライラ・不安・孤独・退屈といったネガティブ感情や、逆に給料日などの大きな喜びもトリガーになり得ます。ストレスや憂鬱感を紛らわすため、あるいは嬉しい気分をさらに高揚させるためにギャンブルしたくなるパターンです。
  • 環境面のトリガー: パチンコ店の前を通ったとき、テレビで競馬CMを見たとき、給料日後の週末、仕事帰りの時間帯、暇な夜、飲酒時、ボーナスをもらった直後…など時間や場所の要因も大きな誘因になります。「ついフラッと入店」「気が緩んでつい…」を引き起こす状況です。
  • 人間関係のトリガー: ギャンブル仲間からの誘い、職場の同僚との麻雀、飲み友達との賭け事など、一緒にいる人が誘因となる場合です。また家庭内の喧嘩や職場での叱責など、人とのトラブルが引き金で「ヤケになって」賭けてしまうケースもあります。
  • 物や金銭のトリガー: スマホのギャンブルアプリや賭けサイト、財布の中のお金の存在、競馬新聞・チラシ、過去の大勝ちの記憶(景品や写真)など、モノや記憶も油断できません。目に入るだけで脳が興奮を思い出し、衝動を誘発します。

こうした自分固有のトリガーを把握したら、それぞれに対する「もし〇〇したくなったらこうする」という具体的な対処策(コーピング)をあらかじめ決めておきます。この「if-thenプランニング」(もし~なら○○する)は、衝動的な行動を抑制する上で非常に有効だとされています⁶。衝動に駆られてから考えるのでは遅いので、事前にプランを用意しておくのがポイントです。

例えば、「ギャンブルしたい衝動が来たら…」という条件に対して、次のような行動計画を立てておきます。

  • まず15分間、様子を見る: 強い衝動もずっとは続きません。まずは深呼吸し、「とにかく15分間だけ我慢しよう」と自分に言い聞かせます。タイマーをセットしても良いでしょう。15分経過する頃には、ピーク時よりも衝動は和らいでいるはずです。
  • 誰かに連絡する: 信頼できる家族や友人、または同じ依存症仲間(後述の自助グループのメンバーなど)に電話やメッセージをするのも有効です。「今ギャンブルしたい気持ちが出て辛い」と正直に打ち明けてみてください。話すだけでも気持ちが整理され、落ち着いてきます。
  • その場を離れて散歩する: 衝動が湧いた瞬間の環境から物理的に離れるのも効果的です。室内にいたなら外に出て歩いてみる、乗っていた電車を途中下車する、ドライブ中なら一旦車を停めて休憩する等、とにかく今いる環境を変えてみましょう。景色が変わると気分も転換し、冷静さを取り戻せます。
  • 冷たい水で顔を洗う: 不意の強い欲求に襲われたら、洗面所で冷水で顔を洗ってみるのも一つの方法です。急激な刺激で自分をハッと目覚めさせ、理性を取り戻す効果があります。
  • 回復に関する本や日記を読む: 以前から読んでいるセルフヘルプの本や、禁ギャンブルの日々を記録したノート等があれば、それに目を通しましょう。過去の自分の決意や回復者の言葉に触れることで、「ここで踏みとどまろう」という気持ちを思い出せます。

これらはあくまで一例なので、自分に合いそうな対処法を組み合わせて「衝動が来たときプラン」を作成しておくことをおすすめします。実際に欲求が起きた際はそのプランに従って即行動し、衝動が通り過ぎるのを待ちましょう。衝動は必ず時間とともに弱まります。一時しのぎでも対処を積み重ねていけば、衝動に支配されず行動を選択できる自信がついてきます。

 
Nana
トリガーを攻略する方法、どれくらいお持ちですか?

トリガー対処セルフチェック
(当てはまる項目に✔︎してください)

ステップ5:金銭管理術を徹底する

お金の管理を見直すことは、ギャンブルをやめる上で避けて通れないポイントです。ギャンブル依存症の方は、どうしても手元にお金があると賭け事に使ってしまいます。「お金さえなければギャンブルできない」のは明らかですから、逆に言えばお金を持たない工夫が非常に有効になります。以下のような対策で金銭面のコントロールを強化しましょう。

 
Miku
物理的にお金を遮断する方法って効果的よね
  • 現金を持ち歩かない: 必要最低限の現金以外は持たずに生活してみましょう。財布に大金を入れないのはもちろん、クレジットカードやキャッシュカードも持ち歩かないのが理想です。最近はキャッシュレス決済も普及していますが、スマホ決済でオンライン賭博に課金してしまう恐れがあるならスマホにも使える上限設定をするなど工夫が必要です。とにかく余計なお金を持ち歩かない習慣を徹底してください。「お金がないから賭けたくても賭けられない」状態を作るのが目的です。この方法はシンプルですが効果的で、「財布にお金を入れないようにするのもギャンブル依存症克服に効き目がある方法だ」と専門家も指摘しています⁵。
  • 収入の管理を第三者に任せる: 自分ひとりで金銭管理する自信がなければ、信頼できる家族に協力をお願いしましょう。毎月の給料は自分名義の口座ではなく配偶者や親族の口座に振り込んでもらい、そこから生活費だけ受け取る形にするのも手です。また、キャッシュカードやクレジットカード類は家族に預けて管理してもらうことで、衝動的にATMから大金を引き出したり借金したりする事態を防げます。自分のお金とはいえ、ギャンブルに使ってしまうくらいなら一時的に管理権を手放した方が賢明です。
  • 家計簿をつける: 日々の支出を記録する習慣をつけましょう。ノートでも家計簿アプリでも構いません。収入と支出を書き出すことで金銭感覚が正常化し、「先月はギャンブルに○万円も浪費していた」「今月はギャンブルに使っていないから貯金できている」等、数字で現状を把握できます。ギャンブルで作った借金がある場合は、債務整理も含めた返済計画を専門家に相談することも検討してください(借金問題の対処法については本記事の範囲を超えるため割愛しますが、必要であれば法テラス等に無料相談できます)。
  • 「使わない口座」を凍結・解約する: クレジットカードのキャッシング枠や消費者金融のカードローンは、すべて解約してしまいましょう。また自分がオンラインカジノ等に入金していた銀行口座・電子決済口座があれば、そちらも残高をゼロにして凍結するくらいの気持ちで。借入や入金に使える手段は徹底的に断つことが大切です。
  • ほしい物リストを作る: 金銭管理のモチベーションアップ策として、自分が将来買いたい物ややりたい事のリストを作るのも良いでしょう。「ギャンブルをやめて浮いたお金で〇〇を買おう」「△△旅行に行こう」といった前向きな目標を可視化しておくのです。お金を無駄にしない意識が高まり、日々の節約も楽しくなります。

金銭面のコントロールは、最初は窮屈に感じるかもしれません。しかし、これは経済的被害を最小限に食い止める保険でもあります。お金の流れを遮断しておけば、仮に衝動に負けそうになっても大きな損失は避けられるでしょうし、踏みとどまる猶予も生まれます。「自分のお金なのに自由に使えないなんて情けない」などと思う必要はありません。これはあなた自身を守るための賢明な戦略です。金銭管理を徹底しつつ、前述のステップ1~4でギャンブル欲求自体を弱めていけば、次第にお金の管理も楽になっていくはずです。

 
Nana
お金の管理であなたが工夫していることを教えてね

金銭管理セルフチェック
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ステップ6:一人で抱え込まず周囲の支援を活用する

ギャンブル依存症の克服には周囲のサポートが欠かせません。決して孤独に戦おうとしないでください。信頼できる誰かに今の自分の状況を打ち明け、助けてもらうことは、恥ではなく回復への賢明な手段です。ここでは、利用できる主なサポートについて紹介します。

 
Miku
一人で悩む必要なんてないんだから

家族や友人に正直に打ち明ける

まずはあなたのことを大切に思ってくれている身近な家族や親友に、思い切って現状を話してみましょう。打ち明けるのは勇気が要りますが、孤独は依存症を悪化させる最大の敵です。正直に「ギャンブルがやめられず困っている」こと、「助けてほしい」ことを伝えてください。最初は驚かれたり叱られたりするかもしれません。しかし本当にあなたのことを想ってくれる人であれば、きっと力になってくれるはずです。家族であれば金銭管理に協力してもらう、声かけして気にかけてもらうといったサポートが期待できますし、友人であれば誘惑が多い場所へ行かないよう一緒に過ごしてくれるかもしれません。

話すことで自分自身も客観的に状況を見つめ直せますし、「支えてくれる人がいる」という安心感は大きな励みになります。ただし、家族に打ち明けた結果、相手が感情的になり過ぎてしまうケースもあります(特に金銭的被害を被っている配偶者など)。そういう場合は専門家による家族向けの相談窓口や自助グループ(ギャマノン等)もありますので、必要に応じて活用してください(※ギャマノンについては後述)。

自助グループ(GA)に参加する

同じ悩みを持つ者同士で支え合う自助グループへの参加は、世界的に見ても依存症克服の有効な手段として知られています。ギャンブル依存症の自助グループとして代表的なのが「ギャンブラーズ・アノニマス(GA)」です。GAは「賭け事をやめたい」という意思を持つ人なら誰でも参加できる匿名のグループで、日本全国にミーティング(集会)が存在します。参加費は基本無料(任意の献金のみ)で、本名を名乗る必要もなくプライバシーが守られる場です。

GAのミーティングでは、同じ苦しみを経験している仲間たちが集まり、それぞれの体験談を語り合います。過去にギャンブルで人生がどうにもならなくなった仲間の話を聞き、自分の話を聞いてもらう中で、「自分だけじゃないんだ」という安心感や共感を得ることができます。GAでは一日一日賭けずに生きることの大切さ(「今日一日だけ賭けない」というスローガン)を互いに確認し合い、賭けないで過ごす力を仲間からもらうのです⁷。実際、長年スリップを繰り返していた人がGA参加をきっかけにピタリとギャンブルをやめ続けている例も多く報告されています。

さらにGAには「12のステップ」という回復プログラムが用意されており、自分の無力さを認めることから始まり生き方を見直していくスピリチュアルな過程を仲間と進めていきます(宗教ではありません)。このプログラムを実践する中で人生観が変わり、ギャンブルに依存しない生き方を身につけた人も大勢います。

もちろんGA以外にも、各地域の精神保健福祉センター等で行われている回復支援プログラム(グループミーティング)に参加する方法もあります。いずれにせよ、同じ悩みを持つ仲間からの支援や励ましは、孤独を癒し回復への希望を与えてくれる強力な支えになります。一人では挫折しそうになっても、「仲間がいるからもう少し頑張ろう」と思える場があることは非常に心強いものです。興味があればぜひ最寄りの自助グループを調べて、見学からでも参加してみてください。

専門家による無料相談窓口を利用する

家族や友人には言いづらい、身近に頼れる人がいない、といった場合でも秘密厳守で相談できる公的な窓口が各種用意されています。たとえば各都道府県の精神保健福祉センターでは、ギャンブル依存症に関する悩み相談を本人・家族問わず無料で受け付けています。その他、お住まいの自治体の保健所や保健センターでも依存症専門相談を行っている場合があります。まずはお近くの自治体ホームページ等で「ギャンブル依存症 相談先」を検索してみましょう。

また国が設置した依存症相談拠点(地域依存症センター)では、電話や対面で専門カウンセラーによる相談支援を受けることができます。相談内容に応じて、必要な情報提供や医療機関・自助グループの紹介も行ってくれます。厚生労働省の委託事業として24時間対応の無料電話相談「ギャンブル等依存症相談電話」(地域によって名称が異なる場合あり)もあります。一人で悩まず、まずは気軽に電話してみるのも良いでしょう。

要は「困ったらまず相談!」が鉄則です。専門の医療機関や公的機関に遠慮なく相談してみましょう⁸。相談したからといって必ず治療を強制されたり記録が残ったりするものではありません。匿名で相談だけして情報収集することも可能です。相談員は皆プロですから、ギャンブル依存の苦しみを理解して親身に話を聞いてくれます。「こんなこと聞いてもいいのかな?」と思うような些細な疑問でも構いません。たとえば「自分は依存症かどうか知りたい」「家族にどう切り出せばいい?」「通院するとしたら費用は?」等々、まずは尋ねてみましょう。適切な助言や必要な支援策を教えてもらえるはずです。相談先の一例を以下にまとめます。

  • 精神保健福祉センター(各都道府県・政令市に設置) – 依存症全般の専門相談機関。無料。まずはここに相談すれば、地域の適切な医療機関や自助グループを紹介してもらえます。
  • 依存症専門医療機関(精神科・心療内科のクリニックや病院) – ギャンブル依存症の外来治療を行っている医療機関です。診断やカウンセリング、必要に応じ薬物療法など医学的アプローチで回復を支援します。紹介状なしで受診できるところもありますが、事前に専門相談窓口に問い合わせるとスムーズです。
  • 自立訓練(依存症回復)支援施設 – 民間のリハビリ施設で、通所・宿泊型などで生活リズムの立て直しや回復プログラムを提供しています。費用はかかりますが、環境を変えて集中的に回復に取り組みたい場合に検討します。
  • 地域の消費生活センター・法テラス – 借金問題を抱えている場合、債務整理や生活再建について相談できます。ギャンブル問題専門ではありませんが、家族が対応に困っている場合などに役立ちます。
  • 民間の依存症ホットライン – 一般財団法人ギャンブル依存症予防回復センターが運営する「サポートコール」など、資格を持つカウンセラーが24時間無料で相談に乗ってくれる電話窓口もあります。匿名OKなので、話しづらいことも安心して打ち明けられます。

このように利用できる支援は積極的に利用することが回復への近道です。「自力で克服」と言っても、決して「誰の手も借りずに一人でやれ」という意味ではありません。むしろ逆で、周囲の力をどんどん借りて、あなた自身の回復を助けてもらうことが大切なのです。遠慮や恥ずかしさは捨てて、「自分を助けるための作戦」の一つとしてサポートを存分に活用してください。

 
Nana
サポート環境、どれくら充実してますか?

サポート環境セルフチェック
(当てはまる項目に✔︎)

ステップ7:焦らず一日一日の積み重ねで再発防止

最後に心に留めておいていただきたいのは、ギャンブル依存症からの回復は長い道のりになるということです。これは他のどんな依存症でも同じですが、回復の過程は決して一直線ではありません。時には順調に abstinence(非賭博)の期間が続くでしょうし、時にはスリップ(再びギャンブルしてしまうこと)を経験するかもしれません。

重要なのは、たとえスリップしてしまっても決して自分を責めて投げやりにならないことです。スリップ=完全な失敗ではありません。むしろ多くの回復者が大小のスリップを経験しながら最終的にギャンブルを断ち切っていっています。専門家も「もしスリップしてしまっても、それですべてが終わりなわけではない」と強調しています⁹。大切なのは、スリップした事実を隠さずにすぐ信頼できる人や相談機関に報告し、「なぜ再びやってしまったのか?」を一緒に分析して次に活かすことです⁹。同じ過ちを繰り返さないよう対策を練り直せば、スリップも貴重な教訓になります。

 
Miku
スリップしたからってくよくよしなくてもOK!次回に活かせる貴重な体験と捉えましょう

回復初期は特に「もう一生ギャンブルをしないなんて無理だ…」と不安になるかもしれません。そのようなときは、ぜひ「今日一日だけやめてみよう」という考え方で乗り切ってください。これは自助グループでもよく言われるスローガンで、先の長さに圧倒されそうなときは目の前の24時間だけ賭けずに過ごすことを目標にします。明日のことはまた明日考えれば良いのです。この「One Day At A Time(ワンデー・アット・ア・タイム)」の精神で、一日一日を積み重ねましょう。

そして、自分の回復の progress をちゃんと認めてあげることも忘れないでください。例えば「1週間ギャンブルしなかった」「給料日を無事乗り切れた」「友人に正直に話せた」等、小さな達成を自分で褒めてあげましょう。できれば日記やカレンダーに○印をつけて記録すると達成感が目に見えて励みになります。周囲の人にも節目節目で報告し「すごいね!」と言ってもらえればモチベーションアップにつながります。

 
Nana
再発防止にむけてどんなことができるかな?

進捗&再発防止セルフチェック
(当てはまる項目に✔︎)

最後に、何より希望を持ち続けることが大切です。ギャンブル依存症は適切な治療と支援によって十分に回復可能な病気です¹⁰。今は出口の見えないトンネルの中にいるような気持ちでも、必ず光の射す出口に辿り着けます。「自分には無理だ…」と思わないでください。先に回復した人たちも皆、かつては同じ闇の中で苦しんでいました。彼らが回復できたのですから、あなたにもできるはずです。希望は常にあります。どうか決して諦めないでください。一歩ずつでも前に進み続ける限り、必ず状況は良くなっていきます。つらいときは遠慮なく周囲の助けを借りながら、「今日も賭けずに過ごせた」という日を積み重ねていきましょう。その先に、新しい人生が必ず待っています。

 
Miku
仕上げは理解度チェックテストよね☆

理解度クイズに挑戦!

参考文献

¹ ギャンブル依存症(病的賭博・ギャンブル障害)を理解し、克服への道を探る – ココラク・クリニック
² 田辺等先生に「ギャンブル依存症」を訊く | 日本精神神経学会
³ 身近な人のギャンブル依存が心配なとき-病気であることを理解しましょう-|健康ぷらざPlus(日本医師会)
マンガで解説!ギャンブル依存症 Q&A(依存症予防回復センター)
ギャンブル依存症の克服方法6つ!治すのにかかる期間や費用は?|ベリーベスト法律事務所
〖完全ガイド〗ギャンブル依存症を治す方法 – 脳の仕組みを徹底解説、自力での克服から専門治療まで
当事者支援部:自助グループへの同行(ギャンブル依存症問題を考える会)
ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ|消費者庁
〖完全ガイド〗ギャンブル依存症を治す方法 – 回復のプロセスを受け入れ焦らない【再発防止】
¹⁰ ギャンブル等依存症は適切な治療と支援により回復が十分に可能です|消費者庁

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