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ギャンブル依存症のための再発防止プラン作成ガイド

はじめに

ギャンブル依存症からの回復は決して不可能ではありません。適切な治療とサポートがあれば回復は十分に可能な病気です³。しかし、依存症は糖尿病などと同じ慢性疾患であり、治療過程で再発(スリップ)が起こりやすい特徴があります¹。実際、海外の調査では問題ギャンブラーの約90%が一度は再発を経験するとの報告もあります²。再発はあなた一人の弱さや失敗を意味するものではなく、むしろ多くの人が直面する共通のハードルなのです。

このガイドでは、ギャンブル依存症の再発防止プランをステップ・バイ・ステップで作成する方法を解説します。ギャンブル依存症と闘うご本人はもちろん、そのご家族にとっても役立つ内容を心がけました。実践的なチェックリストや対策を交え、日々の生活で再発を予防し、もしも再びギャンブル衝動に襲われても冷静に対処できるような「備え」を一緒に考えていきましょう。再発防止プランは、ギャンブルをやめ続けるための道しるべです。

 
Nana
この記事を参考に、あなただけのプランを作成し、少しずつ実践してみてください♪ 今日という一日から、新たな一歩を踏み出しましょう!

ステップ1: 自分の再発トリガーを特定する

まずは再発の引き金(トリガー)を知ることから始めます。トリガーとは、あなたにギャンブル欲求を呼び起こす状況や感情のことです。ギャンブル依存症の再発は、多くの場合このような内的・外的トリガーによって誘発されます²。自分にとって何がトリガーになりやすいかを理解しておけば、事前に対策を立てることができます。

トリガーのチェックリスト: 次のような状況や気持ちはありませんか?思い当たるものにチェックしてみましょう²。

  • 感情面のトリガー: ストレスが溜まったとき、ふとした不安や憂うつを感じたとき、日々の生活に退屈してしまうとき、あるいは孤独感や寂しさに襲われたとき。こうしたネガティブな感情は、大きな引き金になります。
  • 生活上のトリガー: 失業、離婚、病気などの人生の大きな変化や出来事。生活環境の激変に伴うストレスも、再発の契機となり得ます。
  • 経済的なトリガー: 給料日にお金を手にしたときや、借金の督促状を受け取ったとき、財布に現金があるときなど、お金にまつわる状況。金銭的プレッシャーや誘惑も衝動を刺激しがちです。
  • 環境・きっかけのトリガー: パチンコ店の前を通りかかったとき、競馬やオンラインカジノの広告を目にしたとき、テレビやSNSでギャンブルの話題を見聞きしたとき。ギャンブルへのアクセスのしやすさや環境要因も再発につながります²。
 
Miku
自己診断テストも用意してみたよ☆ ぜひ試してみてね!

STEP 1️⃣ 再発トリガー自己診断

▶ 感情を記録し代替行動を決めましょう。
▶ 趣味で空白時間を埋めましょう。
▶ 収入の一部を先に貯蓄し別のご褒美を用意。
▶ カウンセリング頻度を増やしましょう。
▶ 専門家と現実的返済計画を。
▶ 所持金ルールと家族管理を。
▶ 生活動線を変更しましょう。
▶ キーワードミュートや広告ブロッカーを。
▶ 飲酒量制限とノンアル習慣を。
▶ 睡眠衛生を整えましょう。
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上記は代表的な例ですが、人によってトリガーは様々です。まずは自分のトリガーを書き出してみることをおすすめします¹。些細に思えることでも構いません。「◯◯な気分のとき危ない」「◯◯に行くと衝動が湧く」など、自身の傾向を整理しましょう。トリガーを自覚することが、再発防止プランの第一歩です。

ステップ2: ギャンブル衝動への対処法を準備する

次に、ギャンブルをしたい衝動(渇望)に襲われたときの具体的な対処戦略を用意しておきましょう。どんなに気をつけていても、長い回復の道のりでは強い誘惑に駆られる瞬間が訪れるものです。その際に「どう対処するか」を事前に決めておけば、衝動に振り回されず冷静に切り抜けることができます。

専門的にも、再発予防にはコーピングスキル(対処スキル)の習得が重要だとされています¹。ここでは渇望対処のチェックリストとして、代表的な対処法をいくつか紹介します。自分に合いそうなものを選び、プランに書き加えてください。

  • 深呼吸・リラクゼーション: 衝動に気づいたら、まずゆっくり深呼吸してみましょう。呼吸に意識を向けることで気持ちが落ち着き、衝動のピークをやり過ごしやすくなります。また瞑想ヨガ、軽いストレッチなど、その場でできるリラクゼーション法も効果的です⁶。
  • 気分転換の行動: 頭の中がギャンブルでいっぱいになってしまったら、別の健全な行動で気を紛らわせましょう。たとえば散歩や軽い運動をする、好きな音楽を聞く日記を書く、趣味のゲームやパズルをするぬるめのシャワーを浴びる等、自分なりの「気分転換リスト」を用意しておきます。特に身体を動かす活動や手を使う作業は、頭を冷やすのに効果があります⁶。
  • 誰かに連絡する: 一人で衝動と戦わないことも大切です。信頼できる家族や友人に連絡を取ることで、気持ちを落ち着けましょう。「今ギャンブルしたい気持ちになって辛い」と正直に話せる人が身近にいるだけでも安心感が得られます。実際、「ギャンブルしたい気持ちを話せる人がいること」が再発防止に有効だと言われています⁹。
  • ギャンブルを遅らせる: 衝動は時間とともに必ず波が引くと言われます。どうしても我慢できないと思ったら、「あと〇〇分だけ我慢しよう」と自分に言い聞かせてみてください。たとえば15分、30分と区切って耐えるうちに、最初の激しい渇望の波は徐々に小さくなっていくはずです。先延ばしにすることで一時的に衝動の勢いをそぎ、衝動のコントロールを取り戻す作戦です⁶。
  • 一日単位の目標設定: 「これから一生ギャンブル禁止」と考えると重荷になりますが、「まずは今日一日やらずに過ごそう」と短期目標にフォーカスするのは有効な戦略です³。今日クリアできたら明日も…というように、一日一日を積み重ねましょう。日々達成感を味わうことで自信がつき、継続の力になります。
 
Nana
あなたは何項目あてはまってるかな??

STEP 2️⃣ 衝動対処スキル

▶ 1日5分呼吸法アプリで習慣化を。
▶ 15分散歩で脳をリセット。
▶ 1行ジャーナリングを。
▶ タイマーを活用しましょう。
▶ 緊急連絡リストを作成。
▶ 仲間の体験談が力に。
▶ Gamban 等を導入。
▶ CBTワークシートで反証。
▶ 運動+創作の組み合わせ◎。
▶ 習慣トラッカーで可視化。
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こうした対処法は、認知行動療法(CBT)など専門治療でも実践されるテクニックです¹。大切なのは、自分に合う方法をいくつか組み合わせて用意しておくことです。プランには「〇〇の衝動を感じたら→△△する」という形で対応策を書き込みましょう。実際に渇望が襲ってきたらプランを見返し、落ち着いて実行に移します。衝動に振り回されるのではなく、「衝動が来たら〇〇しよう」と自分でシナリオを決めておくことがポイントです。これにより、「衝動は必ず対処できる」という安心感を持って日々を過ごせるようになります。

ステップ3: 支援ネットワークを構築する

再発防止プランには、周囲のサポートを得ることも欠かせません。ギャンブル問題は本人の意志の強さだけでなく、環境や人間関係の力も大きく影響します。孤立して抱え込まず、回復を支えてくれる支援ネットワークを築きましょう²。以下は具体的なポイントです。

  • 身近な人に打ち明ける: まだ家族やパートナー、親友などに依存の問題を話せていない場合、勇気を出して現状を共有することを検討してください。恥ずかしい、怒られるのではと不安かもしれませんが、理解者が身近にいることは大きな支えになります。秘密を抱え込むストレスが減り、再発しそうなときもすぐ相談できます²。あなたを大切に思う人であれば、きっと回復を応援してくれるでしょう。
  • 自助グループに参加する: ギャンブラーズ・アノニマス(GA)は、ギャンブルをやめたい人たちが集う代表的な自助グループです。現在日本国内に200以上のグループがあり¹⁰、各地で定期的にミーティング(例会)が開かれています。経験を分かち合える仲間の存在は、孤独感を和らげ、再発防止への大きな励みになります。また、家族向けにはギャマノンという自助グループもあり、同じ悩みを持つ家族同士で支え合っています¹。自助グループに継続参加することで症状が安定し、長期的な回復につながることが報告されています¹。
  • 専門家の力を借りる: ギャンブル依存症は専門のクリニックや相談機関でカウンセリングや治療を受けることもできます。とはいえ専門医療機関の数は限られ、通院のハードルが高い場合もあります。そうしたときに役立つのがオンラインカウンセリングです⁷。ビデオ通話やチャットを通じて臨床心理士等のカウンセラーの支援を自宅で受けられるサービスで、通院が難しい人でも継続しやすい利点があります⁷。国内外にいくつかプラットフォームがありますので、信頼できるサービスを調べて活用してみましょう。また各地の精神保健福祉センター依存症専門外来でも相談を受け付けています。必要に応じて医療の力を積極的に借りることも再発防止の重要な柱です。
  • 家族・周囲の協力: ご家族もまた重要な支援者です。ただし、家族が問題を抱え込みすぎて共倒れにならないよう注意が必要です。家族だけで解決が難しい場合は、前述のギャマノン等に参加し、家族自身が相談・支援を受けることも大切です¹。また、家族ができるサポートとして、金銭管理の協力や生活リズムのサポートなどがあります(詳細は次のステップで触れます)。一方で注意したいのは、借金の肩代わりをしないことです。借金を家族が代わりに返済してしまうと、本人が問題の深刻さに向き合う機会を失い、かえって回復を遅らせる恐れがあります³。家族は専門機関に相談しつつ、本人が自ら回復に取り組むよう見守る姿勢が求められます。
 
Miku
自分に合ったものから始められるといいね!

STEP 3️⃣ 支援ネットワーク

▶ 週1回以上の参加を。
▶ 月2回オンライン相談を。
▶ 週次で進捗共有。
▶ 1日1回報告し合いましょう。
▶ サポートコール 0120-683-705。
▶ Discord 等で仲間を。
▶ 就労支援制度を活用。
▶ 通帳を家族預かりに。
▶ 成功体験を祝いましょう。
▶ 多職種支援を連携。
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支援ネットワークは一朝一夕には築けませんが、あなたの回復を長期的に支えてくれる土台となります。再発防止プランには、「困ったときに連絡できる人」「定期的に参加するミーティングやカウンセリング」「通院先の連絡先」などを書き加えておきましょう。孤独を感じたらすぐ誰かに連絡するという一文をプランに入れておくだけでも、「自分は一人じゃない」と思い出す助けになります。

ステップ4: 金銭管理と環境の整備

ギャンブルの再発を防ぐには、お金の管理方法や生活環境を見直すことも重要です。衝動に駆られたとき、手元に大金があったりギャンブルへのアクセスが簡単にできる環境だと、再発のリスクが高まってしまいます²。そこで、あらかじめ「ギャンブルを物理的にできない状況」を作り出す対策を取り入れましょう。以下のチェックリストを参考に、取り組めそうなものをプランに組み込みます。

  • 金銭ルールの設定: 資金源を断つことで衝動的なギャンブルを防ぎます。具体的には「クレジットカードを持たない・使わない」「必要最低限以上の現金を持ち歩かない」などのルールを設けましょう⁸。預金通帳やキャッシュカードは信頼できる家族に管理を任せ、自分だけでは大金を引き出せないようにするのも有効です⁸。一時的にでも金銭管理を委ねることで、賭けに使えるお金を物理的に遮断できます。
  • ギャンブル環境からの距離を置く: 日常生活の中で可能な限りギャンブルと距離を置く工夫をします。例えば通勤通学の経路を見直し、パチンコ店や競馬場の近くを通らないルートに変えてみましょう。テレビやインターネットでギャンブル関連の番組・広告に触れやすい時間帯は、極力別のことをするよう心がけます。また、スマホのアプリやお気に入りサイトから賭博関連のものは全て削除してください。目につく場所にギャンブルのきっかけがあると再発率が上がるため、可能な限り生活圏から排除します²。
  • ブロックアプリ・サイトフィルタリング: インターネットでオンライン賭博をしてしまう人は、サイトブロック用のアプリやフィルタリングソフトを活用しましょう。あらかじめ賭博サイトや関連キーワードをブロック設定しておくことで、自分の意思ではアクセスできない環境を作れます。例えば「Gamban」「BetBlocker」といった海外製の無料アプリは、数千ものギャンブルサイトへのアクセスを自動で遮断することが可能です。また、それらの解除にパスワード管理が必要な設定にしておけば、衝動的に自分で外してしまうリスクも減らせます。専門家や支援団体でもブロックツールの活用は強く推奨されています。意志の力だけに頼らず、物理的なストッパーを環境に組み込むことが再発防止に非常に効果的です。
  • 「思いとどまる」お守りを持つ: 衝動に駆られた瞬間、自分を踏みとどまらせるキッカケを用意しておくのも良い方法です。例えば「ギャンブルをやめ続けた先の明るい未来」や「家族との写真」「回復後に叶えたい夢」など、自分にとって大切なものを視覚化したお守りを作っておきます。スマホの待受画面を家族写真にしたり、「ギャンブルをしなかったご褒美リスト」を書いて持ち歩くのも効果的です。大阪府の提供する回復支援アプリ「Day See」には、衝動を感じたときに見ることで思いとどまれる写真(お守りを設定する機能があります⁶。そうした“心のブレーキ”となるアイテムを活用し、「これを見るとギャンブル欲求が冷める」というスイッチを自分で作っておきましょう。
 
Nana
いろんな方法があるんだね~

STEP 4️⃣ 金銭&環境バリア

▶ 家族管理やプリペイド方式を。
▶ 強制貯蓄を設定。
▶ Gamban を導入。
▶ 利用停止を申請。
▶ トリガーを視界から排除。
▶ スマホ待受を家族写真に。
▶ 物理的トリガーをゼロに。
▶ キーワードミュート設定を。
▶ ノンアル習慣を検討。
▶ 睡眠環境を改善。
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金銭面と環境面の対策は、再発防止プランの土台となる部分です。プランには「クレカは持たない」「毎週○曜日に家族とお小遣い額を見直す」「通勤路は△△経由に変更」といった具体策を書き込みましょう。環境を整える工夫を積み重ねることで、「ギャンブルをしない生活」が次第に当たり前の日常になっていきます。

ステップ5: 緊急時の対応策を決めておく

どれだけ備えていても、「もうダメだ、打ちに行きたい!」という強烈な衝動に襲われる場面はゼロにはできません。大切なのは、そんな緊急事態に陥ったときの対処行動を事前に決めておくことです。プランの最後に「いざというときは○○する」といった緊急対応策を盛り込み、危機に備えましょう。

以下に緊急時の対処チェックリストを挙げます。自分のプランに取り入れたい項目を参考にしてください。

  • その場から離れる: 衝動が抑えられなくなりそうなときは、まず今いる場所から物理的に離れましょう。もしパチンコ店や競馬場にいるならすぐに退出します。スマホで賭けようとしているなら、一度スマホを電源オフにして遠ざけてください。場所を移動し環境を断ち切ることで、衝動の勢いを弱めます。
  • 支援者に連絡する: 前ステップで築いた支援ネットワークをフル活用します。緊急連絡先に登録した人に電話やメッセージを送るのです。「今ギャンブル衝動が辛い、話を聞いてほしい」と伝えましょう。誰かと言葉を交わすだけでも気分は落ち着くものですし、第三者の声で理性を取り戻せることもあります⁹。支援者には日頃から「衝動が来たら連絡するかもしれない」と伝えておくと良いでしょう。
  • 相談窓口を利用する: 周囲にすぐ連絡できる相手がいない場合や、より専門的な助言がほしい場合は、24時間対応の相談窓口に連絡する方法もあります。例えばギャンブル依存症予防回復支援センターの「サポートコール」では、臨床心理士などの専門カウンセラーが24時間無料で相談に応じてくれます⁵。電話一本でプロのアドバイスや励ましを得られますので、衝動に飲み込まれそうなときは躊躇せず頼ってください。「一人で悩まず、まず相談を!」というメッセージを忘れないでください。
  • 過去の記録を見返す: ギャンブルをやめてきた日数の記録や、断ギャンブルによって節約できたお金の額などをメモしていれば、それを見返してみましょう。ここまで積み重ねた努力の証を見ると、「これを無駄にしたくない」という気持ちが湧いてくるはずです。前述のアプリ「賭け断ちぬ」などでは断ギャンブル継続日数や節約額が一目で確認でき、モチベーション維持に役立ちます。自分の進歩を振り返り、「もう少し頑張ろう」と自分に言い聞かせましょう。
  • 自分への宣言・誓いを読む: あらかじめ「私は二度と○○しません」「次に衝動が来たら△△します」という宣言文や誓約を自分で書いておく方法もあります。それを紙に書いて持ち歩いたり、スマホのメモに入れておき、緊急時に音読します。自分自身の声で決意を再確認することで、ぐらつく気持ちを立て直す助けになります。
  • それでもダメなら専門機関へ: 上記の対策を講じても再発を完全に防げるとは限りません。万一ギャンブルをしてしまった(スリップしてしまった)場合でも、決して自暴自棄にならないでください⁴。その時点で直ちにギャンブルを止め、できれば依存症専門の医療機関につながりましょう⁴。スリップは失敗ではなく、「回復を成功させるために必要な術を学ぶチャンス」だとも言われます⁴。今回なぜスリップしてしまったのか、次に似た状況が起きたらどう回避できるか――これらを専門家や支援者と一緒に分析し、再発防止プランをアップデートするのです。大事なのは、決して回復を諦めず、何度でも立ち上がることです。たとえ一時的にギャンブルをしてしまっても、それまで積み重ねてきた努力が帳消しになるわけではありません⁴。どうか自分を責めすぎず、「また今日からやり直そう」と前を向いてください。
 
Miku
最後の自己診断テストだよ✊

STEP 5️⃣ 緊急時アクションプラン

▶ その場を物理的に離れ衝動を断ちましょう。
▶ スピードダイヤル設定を。
▶ サポートコール 0120-683-705 を登録。
▶ 紙やスマホメモで自分に宣言を。
▶ 写真・アロマ・ストレスボールなど。
▶ 銀行アプリで利用停止ボタンを確認。
▶ 隠さず早期共有が再発防止に。
▶ スリップ分析で次回を防ぎます。
▶ 追い掛けを止める宣言を可視化。
▶ 記録しプランをアップデート。
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プランには、今挙げたような緊急対処の手順を書き込んでおきましょう。特に連絡先(支援者や相談窓口)や、再発しそうなときの行動チェックリストはすぐ見返せる場所にメモしておくと安心です。実際に危機が訪れるとパニックになりがちですが、プランに沿って一つひとつ行動すればきっと乗り越えられます。

再発防止に役立つツールやサービス

現代には、ギャンブル依存からの回復をサポートしてくれる様々なツールやサービスがあります。上手に活用して、あなたの再発防止プランをより強力にしましょう。ここでは信頼できる国内外のツールをいくつか紹介します。

  • 習慣トラッカー・禁欲アプリ: ギャンブルをやめ続けた日数や節約できた金額を見える化してくれるスマホアプリがあります。例えば日本国内で多く利用されている「賭け断ちぬ」という無料アプリは、ギャンブルをやめた日数に応じてキャラクターが成長したり、節約額から購入できるものを計算して表示するなど、ゲーム感覚で楽しみながら禁ギャンブルを継続できる工夫が満載です。同様のアプリには、海外製の「Quitzilla(クイットジラ)」や「依存症を断ち切る」といったものもあり、アルコール・薬物など他の依存にも対応した汎用的な禁欲カウンターとして利用できます。こうしたアプリを使って日々の達成を記録すると、小さな成功の積み重ねが実感できてモチベーション維持に役立つでしょう。
  • オンライン相談・カウンセリング: 前述したように、インターネット経由で専門家に相談できるサービスも強力な味方です。海外の例では米国発の「BetterHelp」などが有名ですが、国内でも精神科医監修のオンライン相談サービスがあります⁷。顔出しせずチャットだけで相談できるサービスや、匿名で利用できるLINE相談などもあるため、対面治療に抵抗がある方はこれらを検討してみてください。定期的にカウンセラーと面談を重ねることで、悩みの整理や対処法の練習ができ、再発予防能力が高まります⁷。
  • 電話相談ホットライン: 直接会うのもオンラインも難しい場合、電話相談は最も手軽な専門サポートと言えます。日本では24時間対応の無料電話相談として、先に触れた依存症予防回復支援センターの「サポートコール」があります(電話番号:0120-683-705)⁵。他にも各自治体の精神保健福祉センターや保健所などで相談窓口が設置されています。辛くなったら一人で悩まず、ぜひプロに話を聞いてもらってください。
  • 自助グループ(対面・オンライン): GAやギャマノンなどの自助グループは全国各地でミーティングを開催しています¹。最近ではオンラインミーティングを実施しているグループもあり、自宅から参加できるケースも増えています。自助グループは参加費無料・実名不要で、同じ悩みを持つ仲間同士が経験や励ましを分かち合う場です¹。再発防止策の一つとして、プランに「毎週○曜日はGAミーティングに参加」などと組み込んでみましょう。同じ道を歩む仲間との繋がりが、きっと心の支えになります。
  • ブロックツール・自己排除制度: オンライン賭博を繰り返してしまう方は、先述のサイトブロックアプリ(GambanやBetBlocker等)を導入しましょう。また国内の公営ギャンブルには、自主的に利用を制限できる自己排除制度が存在する場合があります。たとえば競馬のインターネット投票では本人や家族の申請により利用停止措置が取れますし、カジノやIR施設でも依存症対策として入場回数制限や本人申告による入場禁止措置が検討されています。自分が陥りやすいギャンブル形態について、利用停止の手段がないか調べてみましょう。それを活用すれば、大きな歯止めとなります。

ここに挙げたもの以外にも、回復に役立つリソースは数多く存在します。お住まいの地域の依存症家族会や、全国組織の「ギャンブル依存症問題を考える会」なども情報提供や相談支援を行っています。自分に合ったツールやサービスを積極的に取り入れ、「一人で頑張る」状態から「みんなで頑張る」状態へシフトしていきましょう。

おわりに

最後に、再発防止プランは一度作って終わりではないことを強調しておきます。日々の実践の中で新たな課題や効果的な対策が見えてきたら、プランは随時見直して構いません。むしろ経験を重ねるほどにプランをアップデートし、より自分にフィットした内容に育てていきましょう。再発の危機を乗り越えるたびに、あなたの対処スキルと自信は確実に高まっていきます。

たとえ途中でスリップしてしまっても、決して自分を見放さないでください⁴。依存症からの回復には紆余曲折がつきものです。一度や二度の後戻りで諦める必要はまったくありません。大切なのは何度でも立ち上がる意志と、そこから学んで賢くなる姿勢です。再発という挫折から得た教訓は、必ず次の再発予防に活かせます。

ご自身を責めすぎず、できたことに目を向け、褒めてあげてください。今日までギャンブルを我慢できた時間、使わずに済んだお金、取り戻せた日常…それらは何にも代えがたい成果です。今後もそれを一日一日積み重ねていきましょう。

ギャンブル依存症との闘いは決して楽ではありませんが、あなたにはこの病気に立ち向かうがあります。同じ悩みを経験した多くの人が、支援を得て回復への道を歩んでいます¹。どうか希望を捨てずに、あなたのペースで前進してください。辛いときはプランを開き、ここに書かれたステップやみんなの知恵を思い出しましょう。いつでも相談できる人や機関があり、あなたを支える仲間がいます。「今日一日」を積み重ねれば、必ず明るい未来に繋がります。あなたのこれからの人生が、ギャンブルの束縛から解放され、穏やかで実り多いものになることを心から願っています。

 
Nana
今日もここまで付き合ってくれてありがとう♡
 
Nana
理解度チェックリストもあるよ~ これで完璧だね☆
 
Nana
また、お会いしましょうね!

理解度チェックテスト


参考文献:

  1. 田辺 等「ギャンブル依存症」を訊く(日本精神神経学会, 2024年)
  2. Atlantic Behavioral Health. Gambling Addiction Relapse: Strategies for Recovery(2024年)
  3. 消費者庁『ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ』
  4. 独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター 依存症対策全国センター「もしもスリップしてしまったら」
  5. 公益財団法人ギャンブル依存症予防回復支援センター「サポートコール」
  6. 大阪府「ギャンブル等依存症相談支援アプリ『Day See』の紹介ページ」
  7. エニキュアオンライン診療記事『依存症治療はオンライン診療で受けられる?』(2024年)
  8. KAIJU依存症回復支援サイト「ブロックアプリの重要性 – ギャンブル依存症の再発防止と安心できる環境づくり –」
  9. 長野県依存症対策推進支援センター作成『ギャンブル等で悩んでいる方へ』(リーフレット, 2021年)
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