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ギャンブル依存症の親を持つ子ども(AC)へのメッセージ:壊れた家庭から立ち直るために

あなたは今、親のギャンブル依存によって傷ついた心を抱え、生きづらさを感じているかもしれません。まず知っておいてほしいのは、親がギャンブルをやめられないのは決してあなたの責任ではないということです。ギャンブル依存症は本人の意思だけでは制御できなくなる「病気」であり、たとえどんなにあなたが頑張っても親の賭博を止められなかったとしても、それはあなたのせいではありません。むしろあなた自身も、日々の生活の中で深い苦しみと葛藤を抱えて頑張ってきたはずです。この記事では、同じように壊れた家庭で育った若者たち(いわゆるアダルトチルドレン=AC)の視点から、親のギャンブル依存による心理的・経済的な影響を整理し、そこから自尊心を回復し、未来へ踏み出すヒントをお伝えします。あなたは決して一人ではありません。この文章が、少しでもあなたの心に寄り添い、希望を灯すきっかけになれば幸いです。

親のギャンブル依存が子どもに及ぼす影響

親がギャンブルにのめり込んで生活が破綻してしまうと、子どもであるあなたは計り知れない影響を受けます。その影響は心理的な傷から生活面の困難まで多岐にわたり、深刻です。日本の消費者庁も、ギャンブル等依存症によって「日常生活や社会生活に支障が生じる」だけでなく、うつ病などの健康問題、多重債務や貧困といった経済的問題、家庭内の不和や虐待、自殺、犯罪など様々な社会問題につながり得ると指摘しています。

 
Nana
子どもの立場で生じやすい具体的な影響を見ていきましょう

心に刻まれた傷跡:心理・情緒面への影響

ギャンブル依存の親を持つ家庭は常に不安定で、子どもは心に深い傷を負いがちです。親の気分はギャンブルの勝敗によって激しく上下し、機嫌が悪いときには怒鳴られたり八つ当たりされたりと、言葉の暴力や身体的な虐待にさらされる場合もあります。たとえば競馬やパチンコで親が大負けした日は不機嫌になり、子どもに当たってしまう――それは明らかに虐待であり、そうした経験を繰り返すうちに子どもの心には怯えや萎縮が染み付いてしまいます。家庭が安心できる場所でなくなることで、子どもは常に親の顔色を窺い、緊張とストレスの中で過ごさざるを得なくなります。

また、ギャンブル依存の親は自分のことで精一杯になりがちなため、子どもへの愛情や関心が不足しやすい傾向があります。いわゆるネグレクト(育児放棄)の状態です。十分に構ってもらえなかった子どもは「自分は愛される価値がないのではないか」と感じてしまい、自己肯定感を育めなくなります。「ありのままの自分を愛してくれる存在」が身近にいないと、子どもは「自分はダメな人間だ」「価値のない存在だ」という誤った信念を抱えたまま大人になってしまうのです。実際、アダルトチルドレンの大きな共通点として自尊心の低さが指摘されています。親から否定されたり放置されたりした経験により、「どうせ自分なんて…」という思いが心に刷り込まれてしまうのです。

さらに、家庭で感じた怒りや悲しみを表現できないまま育つことも多くあります。本来であれば親が受け止めて癒すべき子どもの感情が行き場を失い、心の中に澱のように溜まっていきます。しかし子どもは「こんなことで悩んではいけない」「自分さえ我慢すれば…」と感情を押し殺してしまいがちです。その結果、成長後にうつ病や不安障害、PTSDなどの形で心の傷が噴き出すケースも少なくありません。

 
Miku
幼少期のトラウマが尾を引いて、対人関係や日常生活に困難を抱える「生きづらさ」となって表れてしまうのね…

暮らしを直撃する現実:経済的・生活面への影響

親のギャンブル問題は、家庭の経済状況や子どもの生活環境にも深刻な打撃を与えます。ギャンブルへの浪費によって家計は圧迫され、慢性的な貧困に陥りやすくなります。実際、ギャンブル依存症対策の活動家である田中紀子さん(ご自身も父親がギャンブル依存症でした)は「私の育った家庭は間違いなく貧困線以下でした」と振り返っています。収入がギャンブルに消えて生活費が不足すると、子どもには食事や衣服など必要なものさえ満足に与えられないことがあります。それが当たり前の環境で育つうちに、子どもは「自分は欲しいと言っても無駄なんだ」「我慢するしかないんだ」と感じ、欲求を感じる力さえ麻痺してしまう場合があります。実際、ある20代の女性は「生活が苦しいのは当たり前で、おもちゃや服を買ってもらえなくても『欲しい』という意識もなかった」と語っています。幼いながらに極度の我慢を強いられ、貧困状態が日常化してしまうのです。

こうした家庭では、教育や進路にも影響が及びます。経済的理由で進学を断念せざるを得なかったり、学校に通っていても家庭の問題に心が塞がり学業に集中できない子もいます。また、親がギャンブルに熱中するあまり子どもを放置してしまい、不登校や家庭内での孤立につながるケースもあります。極端な場合、親に連れ回されて学校に一度も通えなかった子どもすら存在します。実際に少し前の報道で、父親がパチンコに明け暮れて車上生活を送り、生まれてから一度も学校に行かず戸籍すらないまま幼少期を過ごした子どもが保護された例もありました。

 
Nana
ギャンブル依存が親にある家庭では、子どもの基本的な権利(教育や安全な生活)が著しく侵害されてしまうことがあるのね…

暗闇の中の子どもたち:虐待と世代間連鎖

ギャンブル依存は家族関係を破壊し、時に虐待という最悪の形で子どもを傷つけます。親がお金や感情の余裕を失うことで、些細なことで怒り出したり暴力を振るったりする場合があります。家庭内の激しい言い争いや暴力は子どもの心に深い恐怖と傷跡を残し、そのトラウマは長く尾を引くでしょう。また、幼い子どもが親のギャンブル中に放置され、事故や事件に巻き込まれる悲劇も起きています。実際、日本でもパチンコ店の駐車場に子どもを残したまま親が遊技に熱中し、子どもが熱中症で亡くなるといった痛ましい事故が繰り返されました。田中紀子さんも「(親がギャンブル依存で)虐待にさらされていたり、事故や事件で亡くなる子どもたちもいる」と警鐘を鳴らしています。家庭という本来は子どもを守るべき場が、安全どころか命を脅かす危険な場所になってしまう――それがギャンブル依存症家庭の過酷な現実です。

そして忘れてはならないのが、苦しみの世代間連鎖です。依存症家庭で育った子どもは、大人になってから自らも何らかの依存症に陥るリスクが高いと言われます。実際、親が依存症だと知りつつ「自分は絶対そうならない」と思っていても、幼少期から刷り込まれたストレス対処のパターンや価値観は根深く残ります。ある新潟県の女性(20代)は、幼い頃父親がパチンコに興じるギャンブル依存症で「友達には家の事情を隠し」ながら育ちましたが、振り返って「嫌なことがあったときの逃げ場として、今は自分もパチンコに依存してしまう」と打ち明けています。親に十分に甘えることができず、悩みを誰にも相談できないまま我慢して成長した結果、自分もまた苦しさを紛らわすためにギャンブルや薬物などに手を出してしまうケースは少なくありません。専門家も「親に甘えられないなど複雑な成育歴により傷つき、生きづらさを抱える人は多い」と指摘しており、ギャンブル依存に限らずアルコールや薬物依存症の分野でも、子どもが大人になってから同じ問題に陥る割合が高いことが報告されています。実際、とある調査ではギャンブル依存症の親を持つ子どもは自分も依存症になる傾向が強いことが示唆されています。このように負の連鎖は現実に存在しますが、だからといって「自分も結局こうなるしかない」と絶望する必要はありません。むしろ「連鎖を断ち切ることは可能だ」という希望のほうが、世界中の体験から見えてきます。

 
Miku
次章で、同じ境遇を経験した人々の声に耳を傾けてみましょう

同じ境遇を生き抜いた人たちの声:国内外の体験談

「自分だけがこんな目に遭っているのではないか」「誰にもこの苦しみは分からないのではないか」――ギャンブル依存症の親を持つ子どもたちは、そんな孤独感を抱えがちです。けれども、実際には世界中にあなたと同じような経験をした人々がいて、苦しみながらもそれを乗り越えようとした軌跡があります。その声の一部をここで紹介します。きっとあなたの共感や勇気につながるはずです。

まず日本の事例から。一人の女性(現在20代)は、幼い頃から父親のギャンブル依存に苦しめられてきました。家庭は常に経済的に逼迫し、「生活が苦しいのは当たり前」で育った彼女は、おもちゃや服をねだることもできず友達にも家庭のことを隠して過ごしたといいます。しかし心の中では「どうして自分だけが……」という悲しみや怒りを抱えていました。大人になった彼女は、その心の傷を抱えたまま日々を送る中で、「嫌なことがあったときの逃げ場」として自らもパチンコにのめり込んでしまうようになりました。彼女はそのことに自己嫌悪を感じつつも、「逃げないとやっていけなかった」と当時の心境を明かしています。同じように、親の依存症によるストレスから自傷行為(髪や体毛を抜いてしまうなど)に及んだり、アルコールや他の嗜癖に頼ってしまったりする人も少なくありません。これらの声は、親の問題が子どもにどれほど深い傷を残すかを物語るとともに、苦しみを抱えたままでは次の世代にも影響が及びかねない現実を突きつけています。

一方、それでも前を向いて生き直そうとしている人々の声も聞こえてきます。たとえば、幼少期に父親のギャンブルで家族が崩壊状態だった男性は、「子どもの頃は地獄だった。でも、自分は自分の人生を変えられると信じたい」と語り、同じ境遇の仲間たちと自助グループで回復に取り組んでいます。彼は時間をかけて人間不信や怒りの感情と向き合い、少しずつ他者への信頼を取り戻しているそうです。「過去は変えられないけど、未来は変えられる。もうギャンブルに家族を奪われたくない」という決意のもと、彼は自分の家庭を持った今、子どもには決して同じ苦しみを味わわせないよう努力しています。

 
Nana
苦しみの連鎖を断ち切る一例といえるわね

海外にも目を向けてみます。ギャンブル依存症者の子どもたちがどれくらいいるのかを調べたオーストラリアの大規模調査では、なんと全家庭の13.7%で親が何らかのギャンブル問題を抱えており、15歳未満の子ども約20万人が親のギャンブル問題にさらされていることが明らかになりました。この研究の報告者たちは「親のギャンブル問題による子どもへの悪影響は既知であり、子どもの福祉上の懸念事項である」と述べ、社会全体で子どもと親の両方のケアに取り組む必要性を訴えています。これはオーストラリアの例ですが、家庭におけるギャンブル問題が決して稀ではないこと、そして子どもへの影響が国際的にも重大な関心事になっていることを示しています。アメリカでも、匿名の自助グループに参加して「親のギャンブルで家庭が壊れた過去」を語る若者たちが数多くいます。彼らの多くは「自分と同じ経験を持つ仲間の話を聞いて、初めて自分が一人じゃないと分かった」「親を憎む気持ちでいっぱいだったけど、その感情を正直に話したら楽になった」といった声を上げています。国や文化は違っても、親のギャンブル依存に傷ついた子どもたちが感じる痛みと、その痛みから回復していくプロセスには共通点があるのです。

こうした体験談から伝わるメッセージは一つです。「あなたは決して独りぼっちではない」ということ。そして、「たとえ親がどんな状態でも、あなた自身の人生はここから変えていける」ということです。

 
Miku
次の章からは、傷ついた自己肯定感を取り戻し、この困難な状況を乗り越えるための具体的なステップについて考えていきましょう!

自尊心を取り戻すために:あなたにできること

ギャンブル依存症の親のもとで育った子どもたちは、多くの場合ボロボロに傷ついた自己評価を抱えています。長年の心の傷を一晩で癒すことはできませんが、少しずつ自尊心を回復し、自分らしさを取り戻していくことは可能です。ここでは、そのためのいくつかのステップや心構えを紹介します。どれも今日から実践できる小さな一歩です。無理のない範囲で、あなたの心が「楽になる」ヒントとして役立ててください。

  • 「自分は悪くない」と何度も確認する。 まずは繰り返しになりますが、親の依存症はあなたのせいではありません。でも触れたように、親がギャンブルにのめり込んでしまうのは病的な状態であり、子どもであるあなたに責任はゼロです。罪悪感や自己嫌悪に苛まれたときは、「自分は悪くない」「私は十分頑張ってきた」と心の中で何度も言い聞かせてください。それは真実ですし、自尊心回復の出発点でもあります。
  • 感じている気持ちに名前をつけてみる。 怒り、悲しみ、寂しさ、怖さ――あなたが抱えている様々な感情は無視していいものではありません。感じるままに感じていいのです。紙に書き出したり、信頼できる友人に話してみたり、感情を言語化・表現することで心の重荷は軽くなります。「こんなことで怒る自分が嫌」と自分を責める必要はありません。理不尽な状況に置かれているのですから、怒って当然、悲しんで当然なのです。まずは自分の心に湧き起こる感情を素直に認め、「そう感じていいんだよ」と自分を許してあげましょう。
  • 「境界線」を引く勇気を持つ。 親が大切であればあるほど、あなたは親の問題に引きずり込まれがちです。ときには親の借金の穴埋めをしたり、家のことを全部背負い込んだりしてきたかもしれません。しかしあなたにはあなたの人生があります。親の問題と自分の人生との間に境界線(boundary)を引くことも大切です。例えば、これ以上経済的に振り回されないようにする、暴力や暴言には毅然とNOを突きつける(安全確保のため第三者に助けを求める)、自分の進路や交友関係に干渉させない等です。冷たく感じるかもしれませんが、自分を守ることは決してわがままではありません。あなたがボロボロになってしまったら元も子もないのですから、可能な範囲で「自分の身を守る線引き」をしてください。
  • 信頼できる人や専門機関に相談する。 ひとりで抱え込まないでください。学校の先生やスクールカウンセラー、親戚の中の頼れる大人、友人など、「この人なら分かってくれそう」と思える相手に勇気を出して話してみましょう。話すだけで心が軽くなることもありますし、客観的なアドバイスや具体的な手助けにつながることもあります。「こんな家庭のこと、誰にも言えない」と感じるかもしれません。しかし今、日本でも少しずつこの問題への理解が広まってきています。本記事の末尾でも紹介するような専門の相談窓口もあります。特に心理の専門家(カウンセラーや臨床心理士)は秘密厳守であなたの話に耳を傾け、心のケアを手伝ってくれます。一人で背負い込まず、遠慮せずに助けを求めていいのです。
  • 同じ経験を持つ仲間とつながる。 世の中には、あなたと同じように親の依存症問題で傷ついた経験を持つ人たちがたくさんいます。そして幸いなことに、そうした人々が集まりお互いを支え合うための自助グループが各地に存在しています。後述する「ギャマノン」や「ACOA(アダルトチルドレン・アノニマス)」などがそれに当たります。同じ苦しみを知る仲間だからこそ、あなたの気持ちを深く理解し共感してくれるでしょう。実際、自助グループの場では「自分一人じゃない」と感じられることが大きな支えになるといわれます。最初は勇気がいるかもしれませんが、扉の向こうにはあなたを歓迎し受け入れてくれる仲間が待っています。
  • 自分自身を大切にする時間を持つ。 親のことで頭がいっぱいになってしまうと、あなた自身がすり減ってしまいます。どんなに忙しくても、自分のための時間を意識的に作ってください。趣味に打ち込む、本を読む、音楽を聞く、友達とおしゃべりする、軽く体を動かす…どんな小さなことでも構いません。「自分が少しホッとできる」「楽しい」と感じられる瞬間を積極的に取り入れましょう。笑顔になれる時間が増えるほど、傷ついた心の治癒力も高まります。また、規則正しい生活や十分な睡眠・栄養も心身の回復には欠かせません。あなたが元気になることは決して親への裏切りではなく、むしろあなた自身が幸せになる権利なのです。
  • 必要なら物理的距離をとることも検討する。 もしあなたが現在進行形で親から虐待を受けていたり、安全が脅かされている場合は、まず身の安全の確保が最優先です。信頼できる親戚宅に避難する、児童相談所や警察に連絡する、学校や地域の保健機関に相談するなど、しかるべき措置を取りましょう。すでにあなたが成人しているなら、経済的に自立できるタイミングで実家を出て自立する選択も時には必要かもしれません。これは親を見捨てることでは決してなく、自分の人生を生きるための大切なステップです。物理的な距離を置くことで初めて、冷静に自分と親の問題を見つめ直せることもあります。勇気のいる決断ですが、あなた自身の人生を守るために必要であれば専門家と相談しながら検討してください。

以上のようなステップを踏みながら、ゆっくりでもあなた自身の心の回復を進めていってください。一朝一夕で自己肯定感が満ちあふれるようにはならないかもしれません。それでも、今日できなかったことが明日できるようになるかもしれませんし、半年後のあなたは今より少し生きやすくなっているかもしれません。大切なのは、決してあきらめないことです。あなたには傷ついた分だけの回復力と可能性が備わっています。

 
Nana
どうか自分をいたわりながら、できるところから取り組んでみてくださいね

仲間と支援を求めよう:自助グループと相談先の紹介

親のギャンブル依存による問題を乗り越える上で、周囲の支援を得ることはとても重要です。あなた一人で抱え込む必要はまったくありません。実際、行政も*「家族だけで問題を抱え込まず、家族向けの自助グループに参加するなどして健康的な思考を保つことが大事」*だと強調しています。ここでは、同じ悩みを持つ仲間が集う自助グループや、専門の支援団体・相談窓口をいくつかご紹介します。興味が持てそうなものがあれば、ぜひアクセスしてみてください。きっと「ここになら自分の居場所があるかもしれない」と感じられるはずです。

  • ギャマノン(Gam-Anon)ギャンブル依存症者の家族と友人のための自助グループ。 ギャマノンは、アルコール依存症者の家族向け自助グループ(アルノン)に倣い、ギャンブル問題に悩む家族や友人のために1950年代に米国で始まったグループです。日本各地でも活動しており、原則として本人ではなく家族や周囲の人が匿名で集まり、体験や気持ちを語り合います。ミーティングでは下の名前やニックネームだけで呼び合い、本名や身分を明かす必要はありません。アドバイスや批判、詮索は禁止で、「話すだけ・聞くだけ」が基本ルール。そのため、誰にも批判されない安心感の中で自分の気持ちを吐き出し、他の家族の体験から学ぶことができます。参加者たちは口を揃えて「自分一人じゃないと感じられることが本当に支えになる」と言います。まさに「あなたは決して孤独ではありません」というメッセージを体現した集まりです。参加費は無料(会場費カンパのみ)で、各地域で週1回程度の定例ミーティングが開かれています。予約不要で飛び込み参加OKなので、「話すのは緊張する…」という場合は聞くだけの参加でも大丈夫です。なお、ギャマノンでは通常のミーティングに加えて、「ヤング」「女性限定」「英語」など特定対象向けのミーティングが開催されることもあります。若い世代の家族が参加しやすい雰囲気づくりも行われていますから、10代・20代の方も安心して扉を叩いてみてください。
  • 全国ギャンブル依存症家族の会家族同士で学び支え合う全国組織。 「家族の会」は、2014年に有志の家族グループから始まり2017年にNPO法人化された全国組織です。日本各地に支部があり、主にギャンブル依存症者の家族が月1回ペースで集まって情報共有や勉強会を行っています。特徴は、家族同士で体験談を語り合うだけでなく、依存症から回復した当事者の講話や専門家を招いたセミナーなども積極的に行い、問題への理解を深めながら対応策を学べる点です。雰囲気はややフォーマルで「勉強会」的ですが、その分ベテランの家族から具体的アドバイスをもらえたり、行政・医療との連携も強かったりするため、実践的な知見が得られるでしょう。参加費は各回1,000円程度(会場費等の実費)で、予約不要・直接会場へ行けば参加できます。「とにかく同じ境遇の仲間の話を聞きたい」という場合はギャマノン、「問題への具体的な対処法を学びたい」という場合は家族の会、と目的に応じて使い分けても良いかもしれません。
  • GAFA(ガーファ)2025年発足の新しい家族自助グループ。 GAFAは「Gambling Families Anonymous」の略で、その名の通りギャンブル問題を抱える人の家族・友人が集う自助グループです。基本的な考え方や進行はギャマノンと非常によく似ており、12ステップに基づく「話しっぱなし・聞きっぱなし」のミーティングを行います。2025年4月に有志によってスタートしたばかりの新しいグループですが、既に首都圏や関西圏を中心に各地でグループ立ち上げの動きが始まっています。「世界的な自助グループに育てていきたい」という意気込みで、インターネットやSNSを活用した情報発信も活発です。そのため比較的若い世代やネット世代の家族も参加しやすい雰囲気があります。参加費無料(カンパ制)、予約不要とハードルは低いので、「新しい仲間と一からコミュニティを作っていきたい」「同世代の家族と出会いたい」という方には特に向いているでしょう。公式サイトで各地域のミーティング情報や問い合わせ先が公開されていますので、興味があればチェックしてみてください。
  • ACoA/ACA(アダルトチルドレン・アノニマス)機能不全家族で育った成人のための自助グループ。 アダルトチルドレン(AC)の支援団体としては、アルコール依存症の家庭出身者を中心に始まったACoA(Adult Children of Alcoholics)がありますが、現在では対象を拡大しACA(Adult Children Anonymous)とも称して、親がアルコール依存症に限らず様々な機能不全家庭で育った人たち全般を受け入れています。まさに「子どもの時期をアルコール依存症やその他の機能不全な家庭で過ごした大人」のためのグループであり、ギャンブル依存症家庭も含まれます。ACAでは定期的にミーティングが開かれ、お互いの経験・力・希望を分かち合いながら12ステップのプログラムに取り組んでいます。「機能不全な家庭で育った人ならではの共通の問題を解決し、新しい生き方を取り戻す」ことを目的としており、参加メンバーからは「幼少期のトラウマを安心して語ることで、初めて自分の人生が開けてきた」という声も多く聞かれます。もしあなたが自分自身を「ACだ」と感じるなら、ACAの扉を叩いてみる価値は大いにあるでしょう。こちらも参加費無料・匿名で、全国各地にグループがあります。公式サイトにはミーティング一覧が掲載されています。
  • 専門機関の相談窓口プロの力を借りてOK。 精神的なサポートだけでなく、実際の問題解決やカウンセリングを求める場合は、公的機関や専門団体の相談窓口も活用しましょう。たとえば厚生労働省の委託事業であるギャンブル依存症予防・回復支援センターでは、年中無休・24時間対応の無料相談電話(0120-683-705)を設置しており、臨床心理士などの資格を持つカウンセラーがいつでも相談に乗ってくれます。深夜でも早朝でも、辛いときや不安なときに電話をすれば、優しく専門的な対応を受けることができます。また、各都道府県の精神保健福祉センター保健所でも、依存症問題に関する家族相談を受け付けています。さらに民間の支援団体では、先述の「ギャンブル依存症問題を考える会(SCGA)」が子ども向けの電話相談(TEL: 070-4501-9625)や家族相談会を開催しています。困ったときはぜひ遠慮せず、こうした窓口を利用してください。
 
Miku
「話しても無駄」「どこに相談していいか分からない」と思うかもしれないけど、あなたの声を真剣に受け止めて、状況を改善するための具体的な支援策を一緒に考えてくれる人たちが必ずいますからね!

・・・以上、いくつか代表的なグループや相談先をご紹介しました。この他にも地域ごとに様々な活動や支援策があります。大切なのは、あなたが一人で抱え込まないことです。仲間や専門家の力を借りるのは決して弱いことでも恥ずかしいことでもありません。それどころか、自分と家族の未来のために勇気を持って助けを求める強さこそ、あなたにはあるのだと思います。

おわりに:あなたの未来はあなたのもの

ギャンブル依存症の親を持つ子どもとして生きるのは、計り知れない苦労と痛みを伴うものでしたね。ここまで読んでくださったあなたは、おそらく自分でも気づかないうちに長い間本当によく頑張ってこられたのだと思います。壊れた家庭の中で懸命に生き抜いてきたその事実だけで、あなたには素晴らしい生きる力があります。

最後にお伝えしたいのは、あなたの人生はこれから充分に取り戻せるということです。たとえ親が変わらなくても、過去を消せなくても、あなた自身が幸せになる道を歩むことはできます。決して遅すぎることはありません。つらい経験をした分、あなたは他の人の痛みが分かる優しさや、困難に立ち向かった強さを持っています。それはこれからの人生できっと大きな財産になるでしょう。

どうか自分をあきらめないでいてください。そして、必要なときにはいつでも周りの助けを借りてください。この記事で紹介した言葉やヒント、支援のリソースが、あなたのこれからの一歩を後押しできれば幸いです。あなたは一人ではありません。同じ痛みを知る私たちが、心からあなたの幸せと回復を応援しています。

まずは今日、深呼吸をして、自分をねぎらうところから始めましょう。あなたには明るい未来を掴む力があります。壊れた過去に縛られず、あなた自身の人生を取り戻す旅に、一緒に歩み出しましょう。

心からのエールを込めて。

 
Nana
今日も長きに渡ってお付き合い頂きありがとうございました♡
 
Miku
理解度チェックテストも忘れずにね!またねー👋

ギャンブル依存症の親を持つ子どもたち【理解度チェックテスト】


参考文献

  1. 子どもたちへ – ギャンブル依存症問題を考える会
  2. 田中紀子「ギャンブル依存の親を持つ子をどう救うのか?負の連鎖を断ち切る教育への期待」– ギャンブル依存症対策推進フォーラム2015(ログミーBusiness)
  3. 第6部<6>「家庭が影響、傷つく子ども ― 連鎖 苦しさ吐き出せる場を」– 新潟日報 (2021年10月1日)
  4. 「ギャンブル依存症の生い立ち」– 銀座泰明クリニック (コラム, 2025年3月9日)
  5. 「アダルトチルドレンとは?特徴や原因、克服するためにやることを解説」– Terapiオンラインカウンセリング
  6. Adult Children Anonymous (ACA) Japan 公式サイト「ACAにようこそ!」
  7. Madeline Hislop, “Parental gambling affects 200,000 Australian children, new study” – Women’s Agenda (April 4, 2022)
  8. 消費者庁「ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ」注意喚起ページ
  9. ギャンブル依存症の家族向け自助グループ・支援団体まとめ」– がんばるライフ (2025年5月5日公開)
  10. ASK依存症予防教育アソシエイト「自助グループ一覧」より ギャマノン の特別ミーティング(ヤング等)に関する記述
  11. GA日本サービスオフィス (ギャンブラーズ・アノニマス当事者) および 一般社団法人ギャマノン日本サービスオフィス (家族・友人) – 自助グループ案内
  12. NPO法人 全国ギャンブル依存症家族の会 公式サイト
  13. GAFA公式サイト および がんばるライフ 情報 – ギャンブル依存症者家族の新しい自助グループGAFAの紹介
  14. 一般財団法人ギャンブル依存症予防回復支援センター 「サポートコール」案内ページ(24時間無料相談ダイヤル)
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