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ギャンブル依存症の配偶者へのNGワードと効果的なコミュニケーション方法

ギャンブル依存症の夫や妻を支えるのは非常に困難です。大切な相手がギャンブルにのめり込み、やめたくてもやめられない状態になってしまったら、何とかして止めさせようと必死になるでしょう。しかし、伝え方を間違えると逆効果になり、状況を悪化させてしまう恐れがあります。本記事では、ギャンブル依存症の当事者に配偶者が絶対に避けるべきNGワードと、その裏にある心理的メカニズム(なぜ責める言葉が逆効果になるのか、防衛反応とは何か)を解説します。

 
Nana
まずは病気として冷静に向き合う姿勢がお互いに必要そうね

さらに、効果的なコミュニケーション方法として、相手に寄り添いながらも境界線を保つ伝え方のポイントや具体的なフレーズ例を紹介し、専門家の提唱するCRAFT(Community Reinforcement and Family Training)プログラムの知見も引用します。最後に、ロールプレイ形式の会話例を通して、NGな声かけと望ましい声かけの違いを確認しましょう。

ギャンブル依存症は「意志の弱さ」ではなく病気

まず大前提として押さえておきたいのは、ギャンブル依存症は本人の意思や性格の問題ではなく、れっきとした病気である¹ということです。アルコールや薬物の依存症と同じく脳の報酬系の障害によって生じるもので、一種の精神疾患に分類されます。したがって、根性論で何とかしようとしたり、ただ厳しく叱責して懲らしめて治るものではありません。依存症の当事者は自分が病気であることを認めず、問題を過小評価しがちという特徴があります¹。家族から見れば明らかに深刻な状況でも、本人は「自分は大丈夫」「本気になればいつでもやめられる」と考えている場合が多いのです。

このように当事者は罪悪感や恥の気持ちを抱えつつも現実から目を背け、防衛的な心理状態にあります。そこに周囲からの厳しい非難や説教が重なると、心を閉ざしてますます問題を認めなくなったり、ストレスが募って逆にギャンブルへの逃避に走ってしまう恐れがあります。実際、専門家も「叱責や強制といったアプローチは問題解決につながりにくい」と指摘しています²。つまり、単に「やめなさい!」と怒鳴ったところで相手を追い詰めてしまい、状況は悪化してしまう可能性が高いのです。

 
Miku
具体例を見てみましょうか…

配偶者が言ってはいけないNGワード一覧

家族として何とかギャンブルをやめさせたい一心で、思わず言ってしまいがちな言葉があります。しかし以下のような言葉は逆効果になりやすいため、絶対に避けましょう。攻撃的で高圧的なコミュニケーションは、相手の自尊心や自主性を奪い、かえって依存行動を悪化させてしまうことが指摘されています³。

  • 人格を否定する・責め立てる言葉:「いい加減にして! 恥ずかしくないの?」「あなたって本当にどうしようもない人ね」
    (問題点:相手の自己嫌悪感を増幅し、防衛反応で心を閉ざさせてしまう)
  • 詰問する言葉:「どうして約束を破ったの!? 説明してよ」「なんで分かってくれないの?」
    (問題点:尋問のように問い詰めると相手は追い込まれ、嘘や言い訳でその場を切り抜けようとする)
  • 強制・命令口調の言葉:「今すぐ二度とギャンブルしないって誓いなさい!」「とにかく私の言うとおりにして」
    (問題点:命令されると人には反発したくなる心理が働き、特に依存症では心理的リアクタンス(自由を奪われたことへの抵抗)が生じます。無理やり誓わせても内心では反発心が高まり、逆効果になりがち)
  • 脅し・極端な罰をほのめかす言葉:「次またやったら離婚だから!」「借金なんか作ったら承知しないからな」
    (問題点:恐怖によるコントロールは一時的な効果しかなく、根本的な解決になりません。むしろ恐怖心から問題を隠すようになり、発覚したときには取り返しがつかなくなる恐れがあります)
  • 監視・管理を宣言する言葉:「もう絶対に一人ではお金を持たせないから」「あなたの行動は全部チェックするからね」
    (問題点:プライバシーを侵害されたと感じれば信頼関係も損なわれ、当事者は他から資金を工面して隠れてギャンブルを続けてしまうケースが少なくありません。また四六時中見張られるストレスから、ストレス発散のためにかえってギャンブルに走ってしまうという悪循環も報告されています²)

以上のような言葉は、配偶者としては「本人のためを思って」発しているかもしれません。しかし相手にとっては攻撃や支配の言葉にしか聞こえず、「自分の気持ちを分かってくれない」「コントロールされているだけだ」といった反発心や疎外感を生みます。その結果、建設的な対話のチャンスが失われてしまい、問題がますます見えにくくなってしまいます²。

特に心理的リアクタンス(抵抗)について理解しておきましょう。人は誰しも、自分の自由や意思を奪われそうになると反発したくなるものです。まして依存症の当事者にとって、「自分の意思で変わりたい」という内発的動機づけが回復には非常に重要だとされています²。家族が「ああしろ、こうしろ」と一方的に押し付けてしまう関わり方では、本人の「自分で変わりたい」という意欲を削いでしまい、回復が遠のく結果になりかねません²。責める言葉や高圧的な態度は相手の防衛反応を招き、依存症の悪循環を深めてしまうのです。

 
Nana
心理的リアクタンスと内発的動機づけ、理解はできても実際にできるかしら…

効果的なコミュニケーション方法:寄り添いと境界設定

では、配偶者としてどのように接すれば良いのでしょうか?ポイントは、相手の気持ちに寄り添いながらも、依存行動を許容しない適切な境界線を引くことです。以下に、ギャンブル依存症のパートナーと向き合う際の効果的なコミュニケーション術を紹介します。

感情的に責めず、まずは共感と傾聴

相手を頭ごなしに非難したり説教するのではなく、まずは深呼吸してこちらの感情を落ち着けましょう。そして、相手の気持ちを理解しようと努める姿勢で対話に臨みます。例えば「辛いよね。あなたが一番苦しんでいるのも分かっているよ」と声を掛けてみてください。自分を分かってもらえたと感じれば、相手も心を開きやすくなります。決して責め口調ではなく、「私はあなたに元気になってほしいと思っているよ」と自分の気持ちを伝える形で心配していることを表明しましょう。こうした落ち着いた対話を重ねていけば、少しずつ本人も耳を傾けてくれるようになり、自分の状況を見つめ直すきっかけが生まれます²。

共感を示す際には、相手が感じているであろう苦痛や葛藤に理解を示す言葉を取り入れることが効果的です。「誘惑に負けてしまう自分が情けないって思っているんじゃないかな」「借金のこと、本当はすごく不安だよね」などと想像しながら声をかけると、「この人は自分の気持ちを分かろうとしてくれている」と感じてもらえます。ただし、決して相手の言い分や嘘を鵜呑みにして迎合する必要はありません。あくまで「あなたの辛さや葛藤には理解を示すけれど、問題行動自体は受け入れられない」というスタンスを貫くことが重要です。

「あなた」ではなく「私」を主語に伝える

コミュニケーションのコツとして、主語を「あなた」ではなく「私」にする(いわゆるIメッセージを使う)ことが挙げられます。例えば「借金作るのはやめてよ。子どもがかわいそうでしょ?」ではなく、「借金だらけになっていくのを見るのは、私は本当に悲しい」のように言い換えてみましょう。相手に「~しなさい」と命令するのではなく、「私は~と感じている」と伝えることで、自分の気持ちは率直に表現しつつも相手の人格を否定しない言い方になります。

「あなたはね…」と言われると、相手は「批判されている」と感じて身構えてしまいます。依存症の人は特に、命令や指図をされることに強く抵抗を覚えます。逆に「私は悲しい」「私は困っている」という伝え方であれば、「あなたをコントロールする意図はない」と示せるため、相手もこちらの話に耳を傾けやすくなるのです⁴。普段から「あなたが悪い」「だからあなたは…」ではなく、「私は~と思う」「~されると私は悲しい」という言い回しを心がけてみましょう。

 
Miku
伝え方一つで、こんなに変わるものなのね

相手の立場に理解を示しつつ前向きな言葉を

先述の共感とも通じますが、相手の置かれている状況や気持ちにできる限り理解を示すことが大切です。例えば「パチンコで負けたら取り返したくなる気持ちは分かるよ。辛いよね。でも今日は早く帰ってきてくれたら私は嬉しいな」といった具合に、相手の気持ちに寄り添ったうえでこちらの希望を伝えるとよいでしょう⁴。単に「今日はまっすぐ帰ってきて!」と要求するより、「仕事終わりはストレスもあるし、一杯やりたくなる気持ちは分かるよ。でも早く帰ってきてくれたら私は嬉しい」と伝える方が、相手も受け入れやすいものです⁴。

また、否定的な表現より肯定的・前向きな表現を使う工夫も効果的です。たとえば「ギャンブルしているあなたは最低」ではなく、「ギャンブルをしていないときのあなたは本当に素敵だね!」と伝えてみてください。誰しも否定されると反発したくなりますが、良い部分を認めて伝えることで「もっと期待に応えたい」「その良い自分でいよう」と思えるきっかけになります。

専門家への相談を提案し、一緒に支援する

配偶者だけで問題を抱え込まず、専門家の力を借りることも重要です。相手に「病院に行って」「カウンセリング受けなよ」と頭ごなしに命令するのはNGですが、提案や問いかけの形でそっと促してみると良いでしょう。例えば「あなたのことが心配だから、一度専門家に相談してみない? 私もいつでも付き添うから」といった具合です。「行ってきなさい」ではなく「行ってみない?」という疑問形にするだけでも、相手の受け取り方は大きく変わります。

ただし、本人が心から「このままじゃダメだ、変わりたい」と思わない限り、真の回復にはつながりません。無理に今すぐ治療を強要するより、本人が助けを求め始めるタイミングを待つことも時には大切です。そのために、配偶者であるあなた自身がまず地域の精神保健福祉センターや依存症専門医療機関、自助グループ(ギャマノンなど)に相談し、正しい知識やサポートの方法を学んでおきましょう。そうした準備を整えた上で、「いつでも一緒に専門家に相談に行けるからね」と本人に伝え、回復への道筋(専門治療のプログラムや相談先の情報)を示しておくことも大切です。

プレッシャーをかけるのではなく、「あなたのペースでいいんだよ。私はいつでも味方だから」という姿勢で寄り添い続けましょう。いざ本人が「助けてほしい」「治療を受けたい」と思えた瞬間に、すぐ専門治療につなげられるよう準備しておくのです。それこそが専門家によれば最も回復に効果的な“治療の入り口”だとされています²。

 
Nana
焦る気持ちはあるけれど、寄り添ってあげる心と時間も大切なのね

支援と境界線の両立:経済的な線引き

寄り添う姿勢と並行して、揺るがない境界線を示すことも必要です。中でも金銭管理に関するルールづくりは、ギャンブル依存症の家庭で避けて通れない課題と言えます。借金の肩代わりをしたり、要求されるままにお金を渡し続けることは残念ながら相手のためになりません。それどころか「お金は最終的に何とかしてもらえる」という安心感が依存行動を長引かせてしまいます。そうしたイネーブリング(問題行動の容認と援助)を断ち切るためにも、「ここから先は自分の責任」という線引きを明確にしましょう。

具体的には、「お金の援助はできないけれど、回復の手助けはいくらでもする」というメッセージをはっきり伝えることです。経済的なサポートをしない=見捨てるという意味ではないことを強調し、治療や更生の支援は惜しまない姿勢を示すことで、本人も「もう本気で立ち直るしかない」と自覚せざるを得なくなります。実際、とある回復者は「家族であってもきちんと境界線を引くことが大事。それは見捨てるということではありません。お金の手助けはできないけど、回復の手助けはいくらでもするというメッセージを伝えます」と述べています⁵。

金銭管理の方法としては、家族がすべてを管理して毎日少しずつ小遣いを渡すより、一定期間分の生活費をまとめて本人に預けて自己管理させるやり方が推奨されています。例えば週や月単位で生活費を渡し、「使い切ってしまっても追加の援助はしない」というルールを予め伝えておきます。こうすることで、本人がお金のやりくりを練習し、金銭感覚と責任感を取り戻す機会を作ります²。これは決して突き放すわけではなく、本人の自立を促すための建設的な境界設定です。

境界線を設ける際には、事前に家族側の対応方針を明確に決めて伝えておきましょう。例えば「嘘をついて借金をするようなら私は○○(借金の肩代わり等)はしない」「約束を破ったら△△は手伝えない」といった具合です。冷たく聞こえるかもしれませんが、家族がこれ以上振り回されないためにも必要なステップです。本人にとっても、「ここから先は自分の責任なんだ」という自覚を促す効果があります²。

もちろん境界線を引いた後も、「困ったときは専門家と一緒に支えるからね」と伝えて見守るスタンスを忘れないでください。プライバシーと尊厳を尊重しつつ、必要なときには専門家の力も借りながらサポートする――その絶妙な距離感こそが、長期的な回復を支える健全な関係性となるのです⁶。

ロールプレイ会話例:NGな声かけと望ましい声かけ

 
Miku
具体的な会話例を見てみましょう!

最後に、実際の会話でどのような違いが生まれるかを、ロールプレイ形式の例で確認してみましょう。夫が給料日直後にパチンコで大負けし、生活費の一部にまで手を付けてしまった状況を想定します。

NGな会話例

妻:「ちょっと! またお金をギャンブルに使ったの!? いい加減にしてよ。何回同じこと繰り返すの?💢」
夫:「ご、ごめん…でも今回はたまたま運が悪かっただけで…次は絶対勝てると思ったんだ」
妻:「言い訳しないで! 前にも約束したでしょう? もう二度とやらないって。嘘ばっかり!😠」
夫:「嘘をつくつもりじゃ…ないけど…(うつむいて黙る)」
妻:「もう信用できない。どうしようもないわね。こんなんじゃ離婚だって考えるから!😤」
夫:「…(怒りと羞恥心で顔を背け、心を閉ざしてしまう)」

解説: 妻のセリフには、相手を非難する言葉(「いい加減にして」「嘘ばっかり」「どうしようもない」)や威圧的な要求(「二度とやらないって約束したでしょ!」)が散りばめられています。これでは夫は追い詰められるばかりで、防衛反応から本音を話せなくなってしまいます。最後の「離婚も考える」は感情的な脅しになっており、夫は羞恥心と怒りで心を閉ざしてしまいました。結果的に建設的な話し合いができない状態に陥っています。

良い会話例

妻:「おかえりなさい。ちょっと顔色が良くないけど…何かあったの?」
夫:「…ごめん。今日、ついパチンコに行って負けてしまった。使っちゃいけないお金まで使って…本当にごめん。」
妻:「そうだったの…。負けてしまって悔しいし、不安だよね…。あなたが今つらい気持ちなのは分かるよ」
夫:「うん…情けないよ。自分が嫌になる。」
妻:「私も正直、不安で悲しい。給料日後にお金が減っているのに気付いて、すごくショックだった…。でも、正直に話してくれてありがとう。」
夫:「怒らないの?」
妻:「うん、怒りたい気持ちがないと言えば嘘になるけど…それより心配かな。これ以上あなたが苦しむのを見たくないの。一緒に専門の相談先に行ってみない? 私もできる限り協力したい。」
夫:「…ありがとう。俺もこのままじゃダメだって思う。相談、付き添ってもらえるかな?」
妻:「もちろん。例えば来週、前に調べたクリニックに予約を入れてみようか? 行きたくないなら無理にはしないよ。でも私は、あなたに元気になってほしいから…一緒に頑張りたい。」
夫:「分かった…自分から電話してみる。迷惑ばかりかけて本当にごめん。」
妻:「ううん、謝らなくていいよ。私も至らないところがあったかもしれないし…。相談に行く決心をしてくれて嬉しい。予約、一緒に行こうね。」

解説: 妻はまず夫の気持ちに理解を示しながら会話を始めています。「悔しいし、不安だよね」「つらい気持ちなのは分かるよ」といった共感の言葉に、夫も素直に自分の弱さを打ち明けられています。また妻自身も「不安で悲しい」と自分の本当の気持ちを冷静に伝えました(「あなたのせいで」とは言っていません)。さらに「話してくれてありがとう」という言葉で、責めるのではなく打ち明けたこと自体を肯定しています。夫が「怒らないの?」と戸惑っていますが、妻は感情的に怒鳴ったりはせず「それより心配」という思いやりを示しました。この段階で夫の「見捨てられるかも」という恐怖が和らぎ、妻を信頼して相談を続けられています。

その後、妻は「専門の相談先に行ってみない?」と提案型の問いかけをしています。「行ってきなさい」ではなく「一緒に行こう」というスタンスなので、夫も前向きに検討できました。また「無理にはしない」「元気になってほしいから一緒に頑張りたい」といった言葉から、妻が自分を責めたりコントロールしようとしているのではなく支えようとしてくれていると感じられ、夫は「自分から電話してみる」と主体的な一歩を踏み出しています。最後に妻が「私も至らないところがあったかも」と伝えた点も重要です。配偶者側にも反省すべき点が皆無ではないかもしれない、と認める姿勢は、相手に責任をすべて押し付けないコミュニケーションとして効果的です。夫にとっても「自分ばかりが責められているんじゃない」という安心感につながり、二人三脚で問題に立ち向かうチームの意識が芽生えています。

 
Nana
最後に理解度確認テストもあるわよ

専門家が提唱する家族支援法:CRAFTとは

最後に、ギャンブル依存症の当事者を支える家族向けのプログラムとして注目されている「CRAFT」について触れておきます。CRAFT(クラフト)とは「Community Reinforcement And Family Training」の略で、もともとはアルコールや薬物依存症の家族を支援する目的でアメリカで開発されたプログラムです⁴。対立を招かずに、本人が治療を受けるよう促すコミュニケーション方法を家族が学ぶ内容になっており、このプログラムを受けた家族では約70%のケースで本人が治療につながったという報告もあります⁴。

CRAFTが強調するポイントは、本記事で述べてきたことと軌を一にしています。すなわち、

  • 肯定的な伝え方をする(悪い面ではなく良い面に目を向けて伝える)
  • 「私」を主語にして気持ちを伝える(命令や批判の口調を避け、Iメッセージで話す)
  • 相手の立場・気持ちに理解を示す(本人の苦しみや葛藤に寄り添いながら希望を伝える)
  • 責任を共有する(家族も一緒に問題解決に取り組む姿勢を見せる)

これら4つのコミュニケーションスキルです⁴。例えば先述したように「お酒を飲むあなたは嫌い」ではなく「お酒を飲んでいないあなたが好き」と伝えるように、叱責の言葉を肯定的な表現に置き換える工夫もその一例です⁴。また「なんで飲むの!」と責める代わりに「飲まずにいるために、私にできることある?」と尋ねることで、家族も問題解決の当事者であることを示すコミュニケーションも推奨されています⁴。

CRAFTの大原則は「家族に無理なことをさせない」ことだとも言われます⁷。今回紹介したような声かけや対応策も、決して特別な技術や知識が必要なものではなく、家族であれば「これならできるかも」と思えるものばかりだったのではないでしょうか。実際にやってみると難しく感じる場面もあるかもしれませんが、完璧を目指す必要はありません。大切なのは、相手を尊重しつつ本人の回復を信じて支えるというブレない軸を持つことです。その軸さえあれば、多少言葉選びを誤ったとしても後から修正できますし、あなたの真摯な思いはきっと伝わります。

依存症は家族にとっても「共に癒されるべき病」です。あなた自身も孤立せず、必要なときには専門家や支援団体に相談しながら、長い目で回復への歩みを支えていきましょう。

理解度確認テスト

最後に、効果的なコミュニケーションに関する理解度テストをやってみましょう!

 
Nana
ファイトっ!
ロールプレイ会話例の理解度テスト

ロールプレイ会話例 理解度テスト(全10問)

1. NGな会話例で妻はどのような話し方をしましたか?


2. 良い会話例で妻が示した重要な姿勢はどれでしょうか?


3. 良い会話例の中で、専門家への相談を提案するとき妻はどのように話しましたか?


4. 妻が良い会話例で示した共感の表現として適切なのはどちらですか?


5. 境界線設定で推奨される方法はどちらですか?


6. 心理的リアクタンスとはどのような心理状態ですか?


7. 良い会話例で妻が使用した主語はどちらですか?


8. CRAFTプログラムの目的は何ですか?


9. 配偶者が否定的な言葉を使うと依存症者はどうなる可能性がありますか?


10. 依存症の人へのコミュニケーションとして推奨される表現方法はどちらですか?


 
Miku
お疲れ様!何問正解できたかな?

参考文献:

  1. 依存症の原因や治療法について解説(エニキュアオンライン診療, 2025年))
  2. ギャンブル依存症のパートナーへの接し方:逆効果なNG行動3選と効果的なサポート方法(がんばるライフ, 2025年)
  3. 依存症に巻き込まれず、回復を助ける方法を知ろう(E-ラーニング講座)(かけないチャレンジ, 2020年)
  4. 依存症家族のためのプログラム「CRAFT」とは?(リブウィズ~ギャンブル依存症と向き合う仲間たちの会~, 2023年)
  5. 私も夫もギャンブル依存症に苦しんだ。でも今は、とても幸せに生きています(soar, 2019年)
  6. 医師監修:ギャンブル依存になりやすい人の共通点とは? 家族やパートナーが取るべき行動(メザニン, 2025年)
  7. アルコール・薬物・ギャンブルで悩む家族のための7つの対処法 CRAFT(アスク・ヒューマン・ケア, 2014年)
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